日本で最大の淡水魚はなんでしょう?
正解は一応、1.5mになる北海道のイトウになっています。
一応というのは、例えば琵琶湖の大ナマズ、
亜熱帯地方の大ウナギ、
中国から輸入されて、
日本で繁殖しているアオウオなども、1m~2mになることがあるからです。
5m級のピラルクやチョウザメ、ノコギリエイに比べると、
小ぶりでちょっと悔しい。
しかし、今回紹介するタキタロウは、
海外の巨大魚にも負けないサイズかもしれません。
ツチノコやヒバゴンとともに、
日本のUMAと話題になった未知の大魚。
タキタロウは高所の大池に棲み、これまで綿密な調査もよく行われている。
それらしい魚も捕獲されているほど、
実在の可能性が高い。
タキタロウについて判明していることを確認し、
その正体の考察や、伝説化した理由などを解説します。
タキタロウは調査で実在が確認された大魚
幻の大魚、
タキタロウが生息するのは山形県の大鳥池。
新潟県との境に近い、朝日山地・以東岳の北麓、
標高966mに位置する、
周囲3.2kmの堰止湖(せき止め湖)です。
堰止湖とは、火山や地震などで、孤立化したような湖のこと言います。
<ドローン撮影、絶景!以東岳と大鳥池>
車で行けるのは途中まで。
そこからさらに厳しい山道を、3時間ほども歩かなくては辿りつけない秘境の湖。
ネットのルート検索を見ただけでも、大変そうな道程です。
いかにも大魚がいそうなロケーションじゃありませんか!
タキタロウは、地元で古くから存在が語り継がれていました。
1975年には、人気漫画「釣りキチ三平」にも登場しました。
だけど、そのくらいは広まった話だったのでしょうが、
まだまだ噂程度でしかなかった。
それが1982年。
池を見下ろす高台から、タキタロウが目撃され、
写真も撮られたことでローカルニュースとなり、
UMAブームにも乗って、
全国でも報じられたことで、日本の怪魚と知られるようになります。
その状況は、池の水面を小魚の群れが逃げ、
それを、2mはあろうかという大魚が追いかけているというもの。
しかし、数百メートルも離れた場所からだった為、
写真もはっきりせず、サイズも怪しい。
どこまで本当なのか……。
それでもこの報道によって、
専門家やマスコミによる、大鳥池の調査が行われます。
地元自治体、NHK、専門家による、3年間の大掛かりな調査では、
池の底の地形、水温・水質、生態系調査、
水中カメラ撮影、ソナー探索などが敢行され、
2mの生物と思われる魚影も何度もキャッチ。
80cmの魚も捕獲されました。
これが、イワナ種らしいけれど、種別を確定できないという魚。
これがタキタロウの稚魚では?
と成果も上々。
この魚の剝製は、鶴岡市のタキタロウ館に展示されています。
下にある動画は、タキタロウ館に見学に行った動画ですね。
2:40から、タキタロウの剝製を紹介してます。
その後も、別の調査でソナーに大魚が捉えられたり、
時々70cmくらいの魚が釣られたり。
大魚実在が明らかになってゆきます。
大鳥池に巨大魚がいるのは間違いないのです!
タキタロウとは以下の通り。
・体長2~3m。
・姿はイワナやヒメマスに似る。
・下顎が上顎にかぶさるほど大きい。
・体の表面は油を塗ったようにヌルヌル。
・寒い時期に産卵する。
・脂が乗った赤身で美味しい。
食われちゃってるんですから、いるに決まっています。
ここから正体を考えてみましょう。
タキタロウの正体
タキタロウの正体は大きく分けて2つ。
・大型化した既存魚類
・未知の古代魚
です。
まずは、大型化した既存魚類の説から検証してみましょう。
タキタロウは大きいだけで、どうやら、イワナやマスやイトウなど、
日本の淡水魚に近い種と思えます。
それらが、たまたま巨大化したのかもしれません。
下顎が大きいことから、
池に閉じ込められたサケが海に出られず、特殊な進化を遂げたとも思えます。
あるいは、大陸から持ち込まれた、
大型のソウギョ、ハクレンとも考えられるでしょう。
大陸魚は、日本でも繁殖が確認されていますから、
なんらかの理由で、大鳥池にいても不思議はありません。
もう一つの未知の古代魚説はどうでしょうか?
古代魚というとちょっと疑わしいですが、新種の淡水魚くらいならありそうです。
タレントのさかなクンが、
山梨県の西湖で、クニマスを再発見したニュースもありましたよね。
絶滅種がひょっこり見つかることもある。
山中の池で、
ひっそりと見知らぬ大魚が生存しているなんて、ロマンチックですよね。
こうしてみると、タキタロウはあり得ないUMAではない気がします。
どこにでも、池の主みたいな大魚がいるものです。
大きさにしても度が過ぎておらず、
信じがたいレベルでもない。
正体不明の大魚も実際に捕らえられていますし、
研究者も、実在はほぼ確実と太鼓判を押しているのです。
ちなみに、新潟県糸魚川市の高浪の池にも、
ナミタロウという5mの大魚がいるとか。
サイズはともかく、
ナミタロウは、昔放流したコイが巨大化したものではないかと推測されており、
だとすれば、大きな個体ということになります。
しかし、タキタロウはおそらく何世代にも渡る種でしょう。
それは、昔から語られ、伝説化していることでも間違いありません。
タキタロウ伝説の成り立ちと現在
大鳥池には、
タキタロウ、またはタケタロウと呼ばれる大魚がいる。
この話は100年以上前からありました。
もっとも古い記録は1885年。
その大きさは、5尺ということで1.5mクラス!
記録といっても、
「大鳥池にデカい魚がいるんだって」
くらいの記述です。
1917年、大鳥池に水門を作るのに、爆破作業をした際、
2匹のタキタロウが浮かんできたと言います。
網で捕獲したその魚は、1.5mで40kgもあったらしい。
二十数名の工事作業員が、4日かかって食べきったんだとか。
特徴の「脂が乗った赤身で美味しい」はこのときの証言からです。
昭和の初めの頃まで、大鳥池では、1mを超える大魚がよく釣れたのだそう。
UMAと言いつつ、けっこう捕まえられているんですね。
だけど、これらは100年程前の過去のお話。
ここまではローカルニュースに過ぎません。
現代で、生存が立証されていないからUMA化したんですからね。
最古の記録といっても1885年は明治時代。
伝説というには近代すぎやしませんか?
1975年、漫画にするのに、伝説の大魚設定になったんだと思います。
作者の矢口高雄氏は、
漫画「バチヘビ」で、ツチノコブームに火を点けた作家です。
隠棲する未確認の生物に関心が高く、
多少の演出で盛り上げたい思いもあったはず。
人目を惹きたい出版社の事情もたぶんあった。
漫画のタキタロウにも、神秘性を加えるため、
伝説の枕詞をつけたのでしょう。
サブタイトルも、
「O池のタキタロウ」と表現も曖昧で、
言い伝えられているのだから嘘でもありませんし。
そして1982年の目撃と撮影、
その後の調査によって、伝説は現実になりました。
マスコミ的にも、伝説とつければ煽りやすい。
タキタロウは有名になり、
大鳥池の湖畔にも、タキタロウ山荘というのが、ちゃっかり建てられています。
大魚を釣ってやろうと、各地から太公望たちが訪れ、
以前よりもアクセスしやすくなっているのは言うまでもありません。
たまに50cm超の大物も釣れるようですが、
2mにもなるタキタロウどころか、1mに届く魚が釣れたという報もまだない。
最近では地元の人も、
「もうタキタロウは絶滅したのでは」
と心配しているそうです。
未だ、その正体がはっきりしないタキタロウ。
僕は、よく見る淡水魚の亜種ではないかと思います。
大きさはおそらく80cm~1mで、
1.5m近い個体も、たまにあると推測しています。
まあ、タキタロウやナミタロウは、
釣られない方がロマンがあっていいかもしれません。
実在はしていた巨大魚の正体~まとめ~
こうしてみるとタキタロウは、
「大鳥池に大物がいるよ」
みたいな噂から、伝説化したようですね。
過去の事例でも、
UMAというより、単なる大物の魚として扱われている気がします。
そこから推察して、僕は1m前後の未確認淡水魚と考えました。
2m、3mという大きさは、むしろ伝説化した後に盛られたように感じます。
僕も昔は釣りが好きで、
思った以上の大物が釣れると、やたら興奮したものです。
50cmはあると思って計ったら、30cm程度だったり、
目測はいい加減なものです。
それでも綿密な調査によって、大魚の存在が確実な大鳥池。
タキタロウは絶対にいる、もしくはいたUMAなんです!
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Спасибо