オオウミガラスはペンギンの元祖!名前の訳と絶滅した理由 

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チドリ目、ウミスズメ科のオオウミガラスは、

ペンギンです。

 

なにを言っているのか分からないかも知れませんが、そうなんです。

 

 

チドリなの?

スズメなの?

 

カラスなのにペンギン?

 

いや、実を言えばペンギンじゃないけど、

ペンギンなんですよ。

 

 

もう、書いている僕もややこしくて困っています。

 

今回紹介するオオウミガラスは、

これだけでも奇妙奇天烈な鳥だとわかるでしょう。

 

ちょっと気になりませんか?

 

 

オオウミガラスは、すでに絶滅しているので見ることはできません。

 

その絶滅も、

なかなか悲しいものがあったりする。

 

 

オオウミガラスとはいったいどんな鳥で、どんな最期を迎えたのでしょうか?

 

ペンギンだけどペンギンじゃないってどういうことなのか?

 

不思議なオオウミガラスについて、勉強してみましょう。

 

 

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オオウミガラスってどんな鳥?

 

オオウミガラスは絶滅していますが、

本家のウミガラスは今も普通にいます。

 

カラスと名付けられているものの、

カラスをイメージするのは間違いです。

 

後で詳しく解説しますが、その姿はペンギンとよく似ていると想像してください。

 

 

オオウミガラスは全長が80cmもありました。

 

近種と言われ、

現存するオオハシウミガラスが全長40cm。

 

普通のウミガラスもその位ですから、

オオウミガラスが突出して大きかったことが分かるでしょう。

 

体重だって5kgもあったんです。

 

 

因みに、現存しているオオハシウミガラスだと、こんな見た目をしてます。

(似てるけどペンギンじゃないですからね)

 

 

ウミガラスの特徴は直立していること。

 

飛ぶのは得意ではありません。

 

オオウミガラスは巨体で、翼が20㎝程しかなかったので、

まったく飛ぶことはできませんでした。

 

 

腹部は白く、頭と背中は黒のツートンカラー。

 

採餌は、海に潜水して魚やイカを捕らえていました。

 

もうこの色と行動を見れば、誰だってペンギンだと思うでしょう。

 

 

実際にペンギンと呼ばれていたのですが、ここにもややこしい事情があります。

 

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ペンギンと呼ばれる理由

 

オオウミガラスの頭部には白い斑点があります。

 

その特徴から、

ヨーロッパでは「白い頭」を意味するケルト語で、

「ペンギン」と呼ばれていたのです。

 

ラテン語で「脂肪」の「Pinguis」が由来という説もあります。

太ってますからね。

 

 

でも「ペンギンは別にちゃんといるじゃないか」と思うかもしれません。

 

 

しかし、南極にいるペンギンが知られるようになったのは18世紀頃の話。

 

オオウミガラスはそれ以前に知られていたので、ペンギンの方が後なのです。

 

 

つまり、オオウミガラス=ペンギンとなっていて、

その後南極に行ったら、オオウミガラスのような未知の鳥がいた。

 

「おお、こいつらもオオウミガラス(ペンギン)の仲間に違いない」

 

そう思われる程、オオウミガラスと現在のペンギンはそっくりだった。

 

白黒のツートン、飛べない、海に潜る、太ってる……

既知のオオウミガラスの一種と間違えられるのは当然だったでしょう。

 

 

で、南極で見つかったその鳥も「ペンギン」と呼んでいたら、

本元のオオウミガラスの方が絶滅してしまったものだから、

「ペンギン」の名前も一般的に南極の鳥のものになってしまったという流れなのです。

 

戸籍を乗っ取るという意味の、背乗りってやつかな。

 

 

オオウミガラスとペンギンは似ていますが、

まったく違う鳥です。

 

それは生息地を見てもわかります。

 

 

北極ペンギンと南極ペンギン

 

ヨーロッパで、

早くから知られていたオオウミガラスは、

北大西洋や北極海に生息していました。

 

北欧やイギリスでは、普通に見られていたのです。

 

だからケルト語で「ペンギン」の愛称も付けられていた訳ですね。

 

 

北半球に分布するのがウミガラスの特徴で、

日本でも一部の種類は見られます。

 

北海道の天売島という所にいるみたいですね。

 

 

その様子は、下にある動画を見てみて下さい。

ある意味絶景ですよ。

 

海鳥の宝庫のような島なんですかね?

数が凄い!

 

それと、カモメ強いな!

 

 

それでは話を戻して・・・

一方、僕らがよく知るペンギンは南半球にしかいません。

 

ペンギンは南極にはいても、北極にはいないんです。

 

なのでウミガラスを北極ペンギン、

ペンギンを南極ペンギンと言うこともあります。

 

 

なんで、わざわざ別ける必要があるのか?

 

これは、南極ペンギンの祖先が、

現在のニュージーランド周辺にいたためと言われ、

分布も南半球だけに留まったからです。

 

根本的に種族が違うということ。

 

 

とにかく、オオウミガラスは北極圏の島々で、

のんびりと暮らしていたわけですが、

極地にも人間が進出するようになると、その生存が脅かされることになります。

 

不毛の北の海で、ボケーっと暮らしている太った鳥が、

人間から目こぼしされるなんてないのです。

 

オオウミガラスには、悲しい絶滅の運命が待っていました。

 

 

オオウミガラスの絶滅

 

オオウミガラスは、肉や卵が美味で、毛皮も利用できるので、

8世紀頃から狩猟の対象になっていました。

 

それでも、まだ極地まで行く人間は少なかった。

数はいたわけです。

 

しかし、大航海時代になると話は変わってきます。

 

 

虐殺の始まり

 

1534年に、

フランスの探検家ジャック・カルティエが、

ニューファンドランド島に上陸。

 

カルティエは、現地人の言葉から、

この土地にカナダと名をつけた人物です。

 

このカナダのニューファンドランド島が、

オオウミガラスの一大生息地だったのです。

 

 

カルティエら探検隊は、

そこで多くのオオウミガラスを仕留めます。

 

いや、正確に言えば「虐殺」。

 

 

肉が美味いことも理由ですが、オオウミガラスは好奇心が強く、

人間を怖れない性格だったので、

自ら近づいて片っ端から狩られてしまうのです。

 

むしろ、殆どは娯楽的に狩ったのでしょう。

 

わざわざ近づいてくる、愚鈍そうな太った鳥は、

狩猟民族のヨーロッパ人にとって、

「バカな的」程度でしかない。

 

 

そんな感じで、オオウミガラスの乱獲は進み、18世紀にはかなり数も減っていました。

 

というのも、オオウミガラスは1年1個だけしか卵を産まず、繁殖力は低かった。

 

乱獲で減った個体数を回復するのは無理だった。

 

 

その生息地も、

一つ、また一つと消え、最期の時を迎えます。

 

 

止まらない乱獲、そして絶滅

 

1820年頃には、生息するのはアイスランドの島だけになっていました。

 

その島は周囲が崖になっていて、

それがちょうど盾のように、オオウミガラスを守っていたのです。

 

 

でも、オオウミガラスは運もなかったらしい。

 

この聖域のような島が、地震で沈んでしまうのです。

 

住処をなくしたオオウミガラスは、

仕方なく近くの岩礁に移住。

 

その生存は風前の灯火です。

 

 

すると蒐集家たちが、

「オオウミガラスは希少な鳥だ。いくら金を出してもほしい」

と言い始める。

 

なんと、

今度はレアになったために狙われるのです。

 

 

誰も保護しようとせず、乱獲は続く。

 

1844年、ついに残ったのは、

最後のつがいと、そのつがいが温めていた卵だけ。

 

 

貴重な生き残りだったのに、

一羽は殴り殺され、一羽は絞め殺され、卵は割れてしまい、

オオウミガラスはゼロになります。

 

その後、目撃情報もあったのですが確認はされず。

 

現在オオウミガラスは、剥製などでしか見られない鳥になりました。

 

 

ペンギンの名前も南極ペンギンに奪われ、

北極ペンギンと呼ばれた、

心優しいオオウミガラスは消えてしまったのです。

 

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元祖ペンギン!オオウミガラスの特徴と絶滅の経緯~まとめ~

 

元祖ペンギンのオオウミガラス。

 

現存していたら、南極ペンギンと同様に、結構な人気者だったと思います。

 

人懐こいし、もしかしたらペットにもできたかも。

 

 

しかし、ステラーカイギュウと同じく、

大航海時代を期に一気に滅んでしまいました。

 

こうした、人間に虐殺された絶滅種の物語は、

判で押したようにテンプレート化されているようです。

 

最後には結局、人間の欲望や狂気で、保護の声がかき消されてしまうのです。

 

二度と、こんな悲しい絶滅が起こらないでほしいですよね。

 

 

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