カギムシ(有爪動物)こそ生きた化石!門を専有する昆虫の祖

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第一印象って大事ですよね。

 

出会う前に相手についての情報があるかないかでも変わってきます。

 

 

『トトロのネコバスにそっくりのムシ発見!』

そんなネットニュースの見出しに、ムシ好きな僕はつい誘われてクリック。

 

それがカギムシでした。

 

 

最初にネコバスと思って見た人は、

「ちょっとキモいけど可愛い」になるようです。

 

でも、僕は幸か不幸かカギムシを以前から知っていたために、

「カギムシが可愛いって……世も末だな」なんて驚いてしまいました。

 

 

僕の前知識では、

カギムシは「ナメクジともゴカイともミミズともつかない気味の悪い生物」

だったんですね。

 

ネコバスのイメージで初対面していれば、

可愛いと思えたのかな……。

 

 

ただ、僕はこのカギムシが進化において、とんでもなく重要な存在であることも知っており、

非常に関心があったことも確かです。

 

カギムシがいなければ、

地球上に昆虫・クモなどの節足動物が現れなかったかもしれません!

 

 

不格好だけど実はスゴいカギムシ。

 

トトロの夢を失うかもですが、知っておく価値はあると思いますよ。

 

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カギムシってどんな生物?

 

僕が昔、

バイブルのように何度も読み返した生物学の本に、カギムシが載っていました。

 

だから知っていたわけですが、

日本ではあまり馴染みがなく、知らない人も多いでしょう。

 

 

カギムシは小さいものは1cm程度、大きくても15cmくらい。

 

ミミズかイモムシのような胴体で、

頭部に触覚が2本

 

 

色は種類によって赤だったり、

青だったり、緑だったりちょっと毒々しい。

 

そして、ネコバスのように太く短い肢がだいたい14対~40対という姿です。

 

 

多足のナメクジと言えば、感じが掴みやすいかな~と思います。

 

でも、手触りはサラサラしてベルベットみたいだそうなので、

ヌルヌルのナメクジよりは気持ち悪いことはなさそう。

(カギムシの英語名もベルベット・ワームと言います)

 

 

生息地は中南米~南米、

マレー半島~オセアニア、南アフリカ辺りなのですが、

他にもポツポツと飛び地にいたりします。

(残念ですが日本では見つかってません)

 

夜行性で、湿った環境を好み、

普段は朽木や落ち葉、ゴミなどの下に隠れているので、

生息地でもよく見ることがない生物です。

 

 

ちょっと面白いのは、口から粘液を噴射すること。

 

実際は口の近くの粘液腺からなのですが、

白い粘液をプシュっと出して、小さな虫を捕まえたり、

防御に利用したりするんですね。

 

 

さて、ここまでの説明で疑問が1つありませんか?

 

「どうしてカギムシって名前なのか?」

 

 

それはムッチリした肢の先が、

小さな鉤爪になっているからです。

 

そこからカギムシは、

有爪(ゆうそう)動物といわれます。

 

有爪動物の出現はカンブリア紀にまで遡ります。

 

 

つまり、カギムシは生きた化石になる。

 

そして、有爪動物は珍妙な進化をしていくことになるのです。

 

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カギムシ(有爪動物)の歴史

 

歴史に興味がなくても、カンブリア紀は聞いたことありますよね?

 

現在から約5億年前

それまでカイメンやイソギンチャク程度の、下等な多細胞生物しか見られなかった地球上に、

突然多様な生物が現れた時代です。

 

人呼んで、生物界のバブル!

……すいません、僕が言っているだけです。

 

 

三葉虫、アノマロカリス、ピカイア、

ハルキゲニア……

といった名前を覚えるのも大変で、

あまりにも奇妙奇天烈な動物が、ワンサカ生み出されたのです。

 

「神様の実験」の時代と言われるのはそのため。

 

僕には実験というより、悪ふざけとしか見えないんですが。

 

 

前述したハルキゲニアは、お盆のときに作るキュウリの馬に、

さらに腹や背中に、割りばしを何本も刺したような滑稽な姿で、

未だにどっちが頭なのかも判別できない謎の生物なのですが、

これも有爪動物の一種です。

 

葉足(ようそく)動物とも呼ばれ、有爪動物の特徴を備えており、

カギムシの祖先と見られるのです。

 

 

葉足動物はカンブリア紀に発生し、

その後のオルドビス紀、シルル紀(4~4,8億年前)に僅かに確認されるだけで、

歴史から消えてしまいます。

 

期間限定でポッと誕生し、よくわからないまま滅んでしまった、なんとも不思議な動物。

 

その流れを継ぐカギムシだけが陸生となり、生き延びているというわけです。

 

 

現在、有爪動物門には、

カギムシ(赤っぽい系と青っぽい系の2科がいます)しか属していません。

 

 

「門」は生物を分類する単位で、

人間から魚までが脊索動物門にひとまとめされているくらいの大きな単位ですから、

カギムシの唯一無二っぷりが際立っていますね。

 

これだけでもカギムシが重要な生物なのは分かります。

 

 

しかし、カギムシはさらに大仕事をやらかしてしまうのです。

 

虫嫌いには恨まれそうなんですが……。

 

 

昆虫の進化との関係

 

「カギムシはミミズとムカデの中間にいるとされています。

 

まず、ミミズを思い出してください。

 

ミミズは頭とお尻の区別がつかず、胴体には筋が入っています。

 

 

これは輪っかになった筒状の胴体が連結しているためで、

この特徴から環形動物と呼ばれています。

 

でも、前後はっきりしないし、移動も大変。

 

 

「おお!頭から触覚出して、胴体の一個一個の輪っかから足を出せばいいじゃん!」

 

ミミズがそんな決心をしたかどうかは不明ですが、その新生ミミズが、

カギムシの形になるのはイメージできますか?

 

 

次にカギムシを考えます。

 

 

「動きやすくはなったけど、どうも不格好だし、防御力が低い。」

 

「それなら足の出た輪っかを、それぞれ独立した体節にして、

硬い殻で覆ったらスッキリするやん!」

 

「ついでに尻からも触覚みたいな突起を出せば、

どっちが頭か敵を騙せるんちゃうか!」

 

 

これで触覚付きの頭部の後ろに、左右に1対の足がある硬い体節が並び、

二又に分かれた尻がついた、ムカデの出来上がり。

 

それでも進化は止まりません。

 

 

「ムカデ悪くないけど、体節多すぎるわー。」

 

「目とか口のある頭と、移動に使う胴体(胸)と、生殖とかする腹の3つでいいや。」

 

「胸には足6本だけ残して、いっそ飛べるように羽もつけちゃえ!

 

 

これが昆虫ってわけです。

 

中にはひねくれ者もいたらしく、

羽はいらんから足はもっと増やして、頭と胸は一緒にしよ

となってクモやサソリができました。

 

 

かなりアバウトですが、

ミミズ→カギムシ→ムカデ昆虫・

クモ類の進化はこの順序で起こりました。

 

今や大繁栄を遂げている昆虫は、

カギムシなしでは存在しえないと言っていいでしょう。

 

 

ちなみに、ミミズも口と肛門を最初に分けた功労者です。

 

僕らがトイレで口を開けなくてもいいのは、

ミミズのおかげ。

 

馬鹿にできないでしょ。

 

 

つまらない生き物のようで、

実は進化に大きな意味を持つものは少なくないのです。

 

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昆虫の祖でリアルガチの生きた化石~まとめ~

 

カギムシは決して目立つ生物ではありません。

 

研究者でさえ「なかなか見つからない」と嘆くほどです。

 

 

しかし、カンブリア動物の特性を、唯一現代に伝え、

一種2科でひとつの門を専有し、昆虫の祖ともなっている。

 

最近は可愛い属性まで加えられ、もう最強なんじゃないかな。

 

 

僕も気味の悪い生物と思っていましたが、記事を書くのに改めて見てみたら、

多足といっても、細く長い足がワサワサしているわけでもないし、

「可愛いかも」と見直しているところです。

 

カギムシは意外とスターの素質があるかもしれない。

 

 

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