エメラルドグリーンの長い尾羽を、
風にひるがえらせて飛ぶ、神の鳥ケツァール。
その姿は、世界で一番美しい鳥だともいわれています。
頭から尾羽まで広がるメタリックな緑、
お腹の赤、尾羽の裏の白。
この三色のコントラストは、まさに息をのむ美しさです。
ケツァールは、古代アステカにおいて、
ケツァルコアトルという神の使いとされました。
アステカ王国の人たちは、南米大陸にやってきたスペイン人たちを、
このケツァルコアトルという神だと信じこんでしまい、
彼らの侵略に対する抵抗が遅れて、滅亡したともいわれています。
それに、世界を見渡すと、
神の使いとされる鳥は案外多くいるのです。
日本の伊勢神宮ではニワトリ、幡宮ではハト、
諏訪大社ではツル、
といった鳥たちが、神の使いだとされています。
また、サッカー日本代表の胸に描かれ、
日本サッカー協会のシンボルマークになっているのは、
ヤタガラスという鳥です。
日本神話にも出てくる三本足のカラスで、
やはり神の使いとされています。
そんな神話で語られる鳥の代表格といえば、
フェニックスこと、不死鳥ですね。
火の中から蘇るという伝説から、火の鳥とも呼ばれています。
火の鳥と聞けば、
手塚治虫さんの有名なマンガを思い出す人もいるでしょう。
その「火の鳥」のモデルとなったのが、
ケツァールだともいわれているんですよ。
火の鳥のモデルにもなった世界一美しい鳥
ネットを見ると、
「火の鳥」のモデルはケツァールだ、
と書いてあるのをよく目にします。
しかし他にも、鳳凰や朱雀といった、伝説上の鳥達だとする新聞記事があったり、
ヒクイドリやクジャク、それにケツァールといった、
実在する鳥たちがモデルだという、ネット記事も見かけたりもします。
手塚治虫さんのオフィシャルサイトにある、キャラクター名鑑で、「火の鳥」の紹介を読むと、
手塚さんは、ロシアの作曲家ストラビンスキーのバレエ曲、
「火の鳥」からイメージを得たとありますが、
絵のモデルについては書かれていません。
「火の鳥」は、さまざまな世界に生まれ変わる空想の鳥ですから、
いろいろな特徴をもっている方が自然でしょう。
ですから、きっと手塚さんは、
世界中のいろいろな鳥たちの写真や、
あるいは、伝説上の鳥たちの絵を参考にして
「火の鳥」を描いたのではないでしょうか。
もしかしたらその中に、ケツァールもいたのかもしれません。
ようするにケツァールは、
多くの人が「火の鳥」のモデルだといわれて納得するほど、
神々しくて美しい存在なのだと思います。
それだけ多くの人を魅了するケツァールを、
ぜひ、その目で見てみたいという人もいるでしょう。
ケツァールの主な生息地は中央アメリカです。
グアテマラでは国鳥とされていますが、
幻の鳥と呼ばれていて、見るのはなかなか難しいようです。
現在、
もっともケツァールを見ることができる国と言われているのが、
コスタリカです。
見たかったらコスタリカに行くしかないの?
ケツァールは残念ながら日本には生息していませんし、
動物園にもいません。
ネットでは、
動植物の国際取引を禁止する、ワシントン条約の対象外だという、
誤った情報も流れているようですが、
間違いなく規制対象になっていますので、
個人での輸入は無理です。
となれば、ケツァールを見たいのならば、
やはりコスタリカに行くしかないでしょう。
コスタリカは自然保護区が国土の4分の1もある、環境保護先進国です。
そのため、幻の鳥といわれるケツァールも、
高い確率で見られる可能性があります。
とはいえ、日本とコスタリカには直行便がありません。
アメリカかメキシコを経由するので、
移動だけでほぼまる一日かかります。
もちろん費用も大変です。
こんな方法は「どうでしょう」
そこでお勧めするのは、
人気俳優の大泉洋さんが、ブレイクするきっかけとなった、
バラエティ番組「水曜どうでしょう」です。
大泉さんは2001年にその番組でコスタリカへ行き、
見事(?)に、ケツァールの撮影に成功しました。
DVDも出ていますし、
コスタリカに行くよりはかなり安く、簡単に、
しかも笑いながら、美しいケツァールの姿を目にすることができます。
あくまでも、ほんの少しですけどね。
さあ、ケツァールを見よう~まとめ~
世界一美しい鳥といわれ、
手塚治虫さんの「火の鳥」のモデルにもなったといわれるケツァール。
その姿を見たいならば、
暇とお金のある方は、ぜひコスタリカへどうぞ。
そうでない方は、
図鑑やネット画像で鑑賞するのもいいですが、
「水曜どうでしょう」を見てみるのはいかがでしょうか。
ただし、その内容を見て、ケツァールはこれだけ?
と思ったとしても責任はもちません。
何せバラエティ番組ですから、
笑って許すということで、どうでしょう?