翼を広げれば1メートル以上、
白と黒の扇のような尾羽が映える猛禽、
ハリスホーク。
哺乳類以外では珍しく、
集団で狩りをし、獲物を分け合うという、社会性を持った鳥です。
大きな鷹が群れをなして飛ぶ光景は、
勇壮であると共に、優雅でもあります。
和名はモモアカノスリですが、
日本でもハリスホークといった方が通りがいいようです。
その名の由来は、
鳥好きにとっては神ともいうべき存在、
オーデュボンと言う人が、友人の名をつけたものです。
そんな友情の証を名前に持つ鳥は、
社会性を持つがゆえに、よく人にも馴れます。
社会性の強い動物である犬が、人に馴れるのと同じですね。
そのため海外では、バードストライク防止のために、
空港で小鳥を散らす役目をしたり、鷹狩り用に飼われていたりします。
テニスで有名なウィンブルドン大会の会場でも、
ハトを追い払うために使われているんですよ。
猛禽類で、そこまで人に馴れる鳥は少ないですから、
ハリスホークは、飼育したい猛禽として人気が高いんですね。
最近は日本でも、徐々に人気が高くなってきています。
ではハリスホークを飼うにはどうしたらいいのでしょうか?
そんな疑問にお答えしていきましょう。
ハリスホークは初心者に向いてるの?
とてもよく人に馴れますし、
雛の頃から育てれば、鷹匠のように手の上に乗せる事も可能なハリスホーク。
猛禽にしてはさほど大きくはないですし、
飼いやすさはまさに初心者向きだといえますね。
ただし、さすがに金魚のように簡単にはいきません。
何も知らないで飼い始めると、間違いなく戸惑いの連続でしょう。
とはいえ、同じ猛禽類でも、
フクロウに関しては飼育についての本も多く出ていますが、
ワシタカ類となるとだいぶ限られています。
ですので、ここでは、これからハリスホークを飼いたいと思っている初心者の方に、
知っておいて欲しい、基本的な事柄について説明したいと思います。
まずエサについてですが、猛禽類は当然肉食です。
野生では野ネズミや野ウサギ、小鳥などを餌にしています。
ですからハリスホークのエサは、そういった動物の生肉なのです。
犬や猫のように、加工された餌ではありません。
日本でハリスホークを飼っている方は、
ラット、ヒヨコ、ウズラなどを餌にしている方が多いようですよ。
下の動画はラットを与えている動画なんですが・・・
本当に観覧注意です。
結構グロイので、苦手な人は見ないようにしておきましょう。
生餌には抵抗があるせいか、
冷凍のウズラ肉をあげるのが一般的だと思います。
ですが本来は、
鳥類に特有なペリットという、
未消化物を吐き出すのを促すために、鳥の羽も与える必要があります。
鳥類、特に猛禽類は食べたもので、未消化の部分を吐き出さないとまずいのです。
それをペリットと言うんですね。
野生でしたら、捕獲した鳥の羽とか、ネズミの毛とかと一緒に吐くのですけど、
飼っていると、ペリットの材料になる羽とか毛のない肉片を与えてしまうので、
消化できないものは、そのままためこんでしまうのです。
当然、鳥の健康に悪い。
だから、飼っている鳥には、わざとエサに羽を加えるんです。
それと、絶対に生体のウズラじゃなきゃダメ!
って事もないですからね。
もちろん生体でもいいんですが、
(生きたヒヨコやマウスをエサにしている人もいます)
それが嫌な人は、冷凍のウズラ肉に、プラスで時々羽を与えないとまずい、
という意味です。
エサがウズラと言われても、ウズラなんて卵しか知らないという方も多いでしょう。
おそらくエサ代が気になっているのではないでしょうか?
実はウズラは案外安くて、
一ヶ月1万円もかからない筈です。
ほっとしましたか?
でも、お金の話が出たので、
そもそもハリスホークって、どれくらいするの?
他にかかる飼育費用は?
と気になってしまったのではないでしょうか?
価格と初期費用は?
さて、ハリスホークの価格はどれくらいでしょうか?
ペットの価格は、
手に入りやすさと、人気によりますから、流動的です。
野生のハリスホークは、
この50年で62パーセント減少し、
更に毎年2パーセント減っているようです。
ですがブリーダーも多く、価格は安定していて、
アメリカでは雄が800ドル、雌が1000ドルほど。
日本では少し高くて、
およそ20~30万円程度で販売されているようです。
それならば人気犬種のトイプードルと、さほど変りませんね。
犬と違って、ハリスホークは予防接種の必要はありませんし、
届け出などもいりません。
他に必要となるのは、まずハリスホークをつないでおくため台座です。
ハリスホークの大きさですと、
ファルコンブロックと呼ばれる、ハヤブサ用のもので大丈夫です。
後は、犬でいえば首輪に当たる足輪(アンクレット)、
リードに当たる足皮(ジェス)、
更に長いリードに当たる紐(リーシュ)があるといいでしょう。
ファルコンブロックが2万円程度、他がまとめて1万円といったところですから、
餌代などを含めても、
初期費用は5万円くらいで済みます。
かなりリーズナブルに飼えますね。
どこで飼えばいいの?注意点は?
いざ、ハリスホークを手に入れて、さてどこで飼えばいいのか?
鳥小屋は?
一軒家でないと無理?
いろいろと疑問が生じる事でしょう。
基本的にはマンションでも十分に飼えます。
ただし、
ハリスホークは寒さに弱い鳥です。
ネットを見ると、マンションのベランダで飼っている、という方もいます。
ですが、本来は寒さに弱い鳥なので、
西の方でも、冬の気温が低い地域では、
屋内で飼う方がいいでしょう。
野生では20年前後、飼育ならば30年近くも生きるというハリスホークです。
人生のかなり長い時間を一緒に過ごすのですから、
せめて小屋くらいは用意してあげて欲しいと思います。
注意点すべきは、
よく人に馴れるといっても、あくまでも飼い主に従順なのであって、
誰にでも馴れるという事ではありません。
特に雛から育てたハリスホークは、
刷り込みによって飼い主を親のように思っています。
また社会性があるというのは、独自の階級付けがあるという事ですから、
しつけを失敗すると、大きく甲高い声で鳴き続け、
近所迷惑になる可能性がありますし、
飼い主に近づくものを攻撃する事もあります。
猛禽は爪が鋭く、握力がとても強い危険な鳥です。
野生の猛禽が人を襲うことはまずありませんが、
人が育てたり餌付けをしたりした場合には、それが起こり得ます。
また犬や猫と違い、鳥類はまだ十分に研究がすすんではおらず、
案外わからない事が多い動物なのです。
このように注意すべき点はありますが、
ペットを飼うには必ず何らかのリスクがあります。
ですから、それを知ったうえで責任を持って飼う事が重要です。
ハリスホークを飼うという事~まとめ~
猛禽類を飼う楽しさを教えてくれるハリスホーク。
初心者でも十分に育てられますし、費用も特別に高くはありません。
訓練すれば、猛禽らしい狩りの姿を見せてくれます。
きっと長く愛せるパートナーになってくれるでしょう。
どんな動物でもそうですが、
知識と責任を持って育てなければ、
問題行動を起こしますし、
飼い主もペットも、共に不幸になります。
幸いハリスホークはブリーダーも増えていますし、
飼育の先輩や購入先の方に、アドバイスをしてもらいながら育てるといいでしょう。
それを守れば、ハリスホークは最高の家族になってくれる筈です。
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