春、満開のピンクの桜の花。
その間を、忙しそうに枝から枝へ飛び移る黄緑色の小鳥・・・
色のコントラストが美しく、いつまでも眺めていたい幸せな気分になれる光景です。
黄緑色のかわいい小鳥で、目のまわりの白い縁取りがチャームポイント。
今回の主人公、メジロです。
では、メジロの鳴き声は?
と聞かれると、え~っと・・・と詰まってしまいませんか?
身近に見られる鳥なのに、鳴き声の印象が薄いなんて残念ですよね。
今回は、鳴き声を中心に、メジロの魅力に迫ってみたいと思います。
鳴き声の種類と意味
メジロも、他の殆どの鳥と同じように、大きな高い声でさえずるのはオスだけです。
春、恋の季節になると、
自分のなわばりを主張して、メスに求愛するために鳴き声を出します。
ただメジロの場合、
鳴き方が複雑でバリエーションが多く、
つかみどころが無いのが、覚えてもらえない原因かもしれません。
文字で表現するのが難しいのですが、ご紹介しておきますね。
地鳴きと呼ばれる普段の鳴き声
「チー チー チー」
「キュルキュルキュル」
<地鳴き:キュルキュルの方>
さえずりと呼ばれる高い声
「ピーチュルチー」
「チーチョイ チーチョイ」
<さえずり>
上記のそれぞれの鳴き声を、
できるだけ早く何回も繰り返すと、メジロに近づけるかもしれませんよ。
分かりやすそうな動画を選んでみたんですけど・・・
どうでしたかね?
やっぱり人間の発音じゃ、ちょっと覚えにくいところはありますよね。
昔の人も、そう思ったのでしょうか。
「聞きなし」という言葉遊びのような事を考えたのです。
鳥の声を、人間の言葉に当てはめて、覚えやすくした遊びですよ。
メジロの聞きなし
メジロの鳴き声の聞きなしは、
「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」が代表格になっています。
近代になってから加えられたと思われる聞きなしには、
「チルチルミチル」というのもあります。
ん〰〰、そんな風に聞こえるかな〰〰???
頭の中が疑問符でいっぱい・・・
という方も少なからずいらっしゃるえしょう。
そんな方は、聞きなしは聞きなしとして、覚えておいて頂くといいかと思います。
参考になるかも知れないですからね。
次は、そんな美しい鳴き声を聞ける時期、
よく見かける時期などを見ていきましょう。
鳴き声と時期
メジロの鳴き声が一番多く聞けるのは、
やはり、4月から7月にかけての繁殖期でしょう。
オスのさえずりに、メスも地鳴きで応える。
そして、2羽が鳴き交わしながら、
枝から枝へ飛び移っていく。
そんな微笑ましい様子を、見る機会もあると思います。
幸運にも、そんなチャンスに恵まれたら、鳴き声にも注意してみて下さい。
前述の、鳴き声や聞きなしに似ているでしょうか?
自分にはこんな風に聞こえた!
というメモを残しておくのも、
バードウォッチングの楽しみが増えて、深みが増すと思いますよ!
春につがいになったメジロたちは、2羽で協力しながら巣を作り、子育てをします。
最近では、市街地や住宅街でも見かけるようになっていて、
庭先の植木にも巣を作る事があるそうです。
樹の皮や繊維などを、クモの糸で接着して、
直径約7cmの小さなお椀型の巣を作ります。
3個から5個の卵を産み、
孵化したヒナは約2週間程度で巣立ちを迎えます。
鳥の巣立ちの中では早い方ですね。
もし、巣やヒナを観察できるチャンスがあったら、
あまり近づきすぎないように気をつけて下さい。
スズメやウグイスに比べて、普段は警戒心は強い方ではありませんが、
子育て中は例外です。
とても敏感になっています。
ヒナが成長しきってない時期に、無理矢理巣立たせてしまう事もあるそうです。
そうなると、ヒナの生存の可能性は低くなってしまいます。
親メジロにとっては、ヒナが外敵に襲われるのを、
避けるためにとる行動なんですけどね。
野鳥ファンの方は、メジロとウグイスを間違える事はないでしょう。
ですが、この2種類の鳥は、混同される事が多いのもまた事実。
遥か昔から、間違えられてきた経緯もあるのです。
次の項目では、なぜウグイスと間違われるのか、考えてみましょう。
ウグイスと混同されがち
よく商品に「ウグイスなんとか」という物がありますよね。
ウグイス餅とかウグイス豆などです。
それって、どんな色をしているイメージを持ってます?
黄緑色ですよね。
ですが、実際のウグイスは、ほぼ茶色なんですよ。
少しだけ緑がかった羽毛はありますが。
<これがウグイス>
商品の黄緑色は、メジロの色に限りなく近いと言わざるを得ません。
きっと、大勢の人の、ウグイスに対するイメージがそうなんでしょうね。
ホ~ホケキョと鳴き、
庭に現れるような身近なイメージで、
黄緑色の綺麗な小鳥だと思っている。
春がきたな~とか、サザエさんの春の回とか、
日本の風情をイメージしちゃいますよね~。
だけど、残念ながら現実は違います。
そのイメージと合っているのは、
鳴き声のホ~ホケキョだけ。
後は、人間が付け加えた妄想です。
ウグイスのさえずり「ホーホケキョ」は、遠くまでよく通る声ですが、
実は、警戒心がめちゃくちゃ強く、あまり人前には出てきてくれません。
声は聞こえるけど、どこにいるの?
という事が多いのです。
ウグイスのさえずりが聞こえる時期って、
あちこちで開花を迎える時期でもあります。
その花の蜜をなめる為に、
大忙しのメジロが、人々の目に留まるという構図ですね。
普段のメジロは、わりと人懐こくて、
目が合ったくらいでは逃げない事が多いです。
スズメなら、即飛んで逃げ去ってしまう場面でも、
メジロは自分の欲求を優先させる、お茶目なところがあります。
多くのファンを惹き付ける、魅力のひとつと言えるでしょう。
ホ~ホケキョと美しく鳴く鳥に、
実は、人間の勝手なプラスイメージが追加されただけだった、
ということが分かって頂けたでしょうか?
メジロの美しい黄緑色と、
人懐っこい可愛いイメージが、ウグイスにプラスされてるってことですよ。
それにメジロだって、鳴き声の美しさには定評があるって知ってますか?
ウグイスほど、トリッキーではないから、一般的には知られてませんが。
メジロは鳴き声も美しく、姿も可愛らしく、
羽の色も綺麗です。
もし、ウグイスがいなかったら、
愛され野鳥NO1になれたかも知れないくらいです。
それが災いし、
法律で禁止される遥か昔は、さんざん捕獲された歴史もあるんですよ。
次の項目では、その経緯と現在の状況についてご説明しましょう。
捕獲は禁止!鳴き合わせ会もあった
古い記録だと、平安時代から。
この頃から、メジロをかごに入れて、鳴き声を楽しんだという記述があります。
ですが、それぞれが持ち寄って、
鳴き声を競わせる「鳴き合わせ会」が行われ始めたのは、
江戸時代とされています。
時代を経て受け継がれていく中で、
捕獲や売買の方法がエスカレートして、いろいろな問題が出てきました。
乱獲の為に個体数が激減してしまい、
現在では、絶滅が心配されるリストに載っているとの事です。
さえずらないメスが捕獲された時は、
殺してしまうといった、耳を疑うような酷い事もあったとか。
現在の日本では、
平成14年に制定された鳥獣保護法で、
捕獲も飼育する事も禁止されています。
ただし、外国から輸入されたメジロは対象外とか。
ごく特殊な場合のみ、
飼育許可を申請すれば飼えるそうですが、条件がかなり厳しく、
一個人でクリアできるレベルではないそうです。
それでも、近くでメジロを見たいなぁ~
と思う気持ちもよーく分かりますよ。
そんな時は、庭にメジロが好きそうな樹を植えたり、
エサが不足しそうな冬の時期に、エサ台を作って、
果物を置いてみたりしてはいかがでしょうか。
エサのあげすぎにならないように、大きな鳥に横取りされないように、
工夫してあげて下さい。
きっと、かわいい姿を見せてくれますよ。
メジロの鳴き声の種類!時期は4月から7月~まとめ~
メジロの鳴き声を軸に、いろいろな側面から考えてみましたが、いかがでしたか?
暖かくなり、たくさんの花が咲き誇るなか、
花から花へと飛びまわる可憐な小鳥の魅力。
しっかり伝わったでしょうか。
メジロは体長12cm、体重は約10g、
スズメよりも小さいです。
1円玉10枚ほどの身軽さだからこそ、
椿の花びらにぶらさがりながら、蜜や花粉を舐める事ができるのですね。
大きめの花びらの下の方に、
ひっかいたようなキズがあったら、メジロがやってきたサインかもしれませんよ。
こんな風に。
Takashi YanagisawaによるPixabayからの画像
機会があったら、
花びらを観察する事で、メジロとの距離が縮まる可能性が高くなります。
春の喜びを歌っているメジロの鳴き声が、
時代が代わっても続いていく事が、私たちの幸せにも繋がっていると私は思います。
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