初夏から秋にかけて、樹木に甚大な被害を与えるアメリカシロヒトリ。
1~1,5cmほどしかない小さな蛾ですが、
第二次大戦後に北米から世界中に広がり、
日本でも東京から本州全土、四国、九州と勢力を広げ、今では北海道でも見られます。
通称は「アメシロ」
とにかくどこにでも大量発生し、
田舎以上に都市部での被害が顕著というのも特徴でしょう。
特に幼虫は極悪です。
無毒で、人体に害はないのですが、木が丸裸にされるほどの大食漢。
さらに見た目がグロい、
集団で固まって気持ち悪い、家にまで侵入してくる……
とてもほっとけませんよね?
今回はアメシロ幼虫とその駆除について徹底的に解説します!
目次
アメリカシロヒトリの幼虫の見分け方
アメリカシロヒトリは樹木の葉に、
緑色の卵を数百個産みつけます。
孵化した幼虫は葉を食べながら成長するわけですが、
固い葉脈だけは食べません。
葉脈だけが魚の骨みたいにきれいに残された、
スカスカになった葉を見たことはありませんか?
そのスカスカ葉っぱが、アメシロにやられた証拠です。
木の下に多くの糞が落ちていたらもう確実です。
……まあ、その頃には3cm近い筒状の、白く長い毛を持った幼虫も目立つようになって、
背筋が凍るような光景が目に見えているでしょうけど。
つまり、アメシロ被害を防ぐには、早い段階での駆除が必要です。
先手必勝のためには、敵の動きを知っておくのが一番。
いつアメシロは産卵し、幼虫が動き始めるのか、
わかっていればチェックもしやすいはずです。
幼虫の大量発生の時期
アメリカシロヒトリはサナギで越冬し、羽化をして、
5月の下旬頃に産卵します。
狙われやすいのはサクラ、カキ、リンゴ、コナラ、プラタナスなどの落葉樹です。
5月の卵から産まれたアメシロが
8月頃に成虫となり、
また産卵し、サナギが冬を越すというサイクルです。
故に、幼虫の発生は産卵後の6月~と、9月~!
北日本と西日本、その年の気候などでややずれることはありますけれど、
この発生時期を目安に覚えておきましょう。
幼虫は孵化後、
クモの巣のような巣網の中で一箇所に固まり、成長すると移動して葉を食い荒らし、
家の壁を這うばかりか、部屋にまで入り込んだりします。
毛虫雨……とまではいいませんが、樹上からポトリなんてこともあるので、
駆除は絶対やりましょう!
アメリカシロヒトリのライフサイクルがわかりましたね?
放っておくと被害状況は刻々と変化します。
駆除は状況に応じてやり方を考えないといけません。
駆除する場合は?状況、ケース別でいくつか
アメリカシロヒトリ被害進行は、
①卵が産みつけられる
②幼虫が孵化して固まっている
③幼虫が成長して移動し、食害、人への不快感を与える
④サナギから成虫、①に戻る
……です。
実質的な被害は③の部分ですが、
小範囲に固まっている①と②のうちに駆除するのが楽なのはわかりますか?
それぞれ、どうやって駆除するのか調べてみました。
大量発生の前に予防
①の卵の時期に駆除できれば最高です。
産卵された葉を見つけたら、その葉を切り落としてしまうだけで済みます。
悪・即・斬ってやつですね。
これなら大量発生される前に簡単に予防できます。
しかし、アメシロも戦略を練っているようで、
卵が葉と同じ緑色で発見を難しくしています。
ベストな駆除法ですが、見つけられるかどうかは運任せでしょうか。
現実的に目指したいのは②での駆除です。
巣網でまとまっている幼虫駆除なら、その部分の枝や葉だけを切り落とせばいいのです。
あちらこちらに幼虫が広がってしまう前に片づけてしまえば、被害の拡がりを予防できます。
僕はこの記事を書くにあたり、
多くのアメシロ駆除の情報を集めたのですが、
ほとんどは
「幼虫のついた枝・葉をそのまま袋に入れ、燃えるゴミで出す」という方法でした。
それでもいいのでしょうが、僕はあるサイトで見つけた
「土に埋める」という方法をおすすめしたいのです。
土中で死んだ幼虫はそこで土の養分になってくれますし、
ゴミ袋をカラスにでもつつかれて、
ご近所中に毛虫をまき散らしたら、
後ろ暗くて仕方ありません。
ここで被害を防げるといいんですが、固まっているのは孵化して10~12日くらいと短い。
ほとんどこのタイミングは見逃され、次の段階へと移行します。
残念ながらはっきりと被害が見えるのは③になってからです。
家には侵入させるな
状況が③まで進むと、駆除するのが厄介になります。
アメシロ幼虫たちが葉から枝から幹から、
どんどんと移動してゆき、庭や玄関、
家の中までにも入り込んでくる末期状態だからです。
一匹一匹、割りばしかなんかで捕獲して駆除もできますが、とても間に合わないでしょう。
薬剤を散布するしかなくなります。
薬剤はスミチオン、オルトランなどが市販されています。
それでも間に合わない場合、
役所、あるいは業者に依頼して、薬剤を散布してもらわないとなりません。
これらの薬剤は強力でアメシロ幼虫に効果的ですが、他の生物にも毒となります。
取り扱いには注意してください。
薬品に頼りたくないのであれば、
石鹸水を使う方法があります。
ぬるま湯に泡がたつほどの石鹸を溶かし、
霧吹き容器などに入れて吹きかけるのです。
昆虫の呼吸器である気門が石鹸水で塞がれ、
窒息してしまうんですね。
樹木で繁殖しているうちなら、家への侵入の前に駆除ができるでしょう。
石鹸水なら家の中でも使いやすいのは言うまでもありません。
このようにアメシロ幼虫は早ければ早いほど楽になります。
大量発生して、移動される前に駆除できるよう、
時には樹木の様子をよく観察しておくといいですね。
アメリカシロヒトリの幼虫駆除法~まとめ~
アメリカシロヒトリの被害は昔よりも減っているといわれます。
それでも大量発生は毎年のように起こり、多くの人の悩みとなっている事実は変わりません。
予防、対策、駆除は先手必勝ということは肝に銘じておきたいものです。
今回は幼虫の駆除ということで、④の成虫については、
___アメリカシロヒトリの成虫の駆除法!生態を利用して一網打尽___
を参照してください。