エミュー戦争とは笑える実話!エミュー対オーストラリア軍

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『国会、飛べない鳥エミューに宣戦布告!』

 

新聞にこんなニュースが載っていたら

「なんの冗談だ!?」

と思いますよね~。

 

 

それがオーストラリアで勃発したエミュー戦争。

 

本当にあった出来事です。

 

 

「戦争って大げさな。ただの駆除じゃないの?」

と失笑してはいけませんよ。

 

オーストラリア国軍までが動員された、

れっきとした軍事活動だったのです。

 

 

今回は教科書では学べない、

でもちょっと笑えるエミュー戦争のお話です。

 

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戦争の始まり

 

時代は1932年!

 

1929年の世界恐慌の煽りを食らって、

エミュー戦争の舞台となった、

西オーストラリアの農耕地帯、キャンピオン地区は、

主産業の小麦の価格も下落して、貧しく沈んでいました。

 

そんな地域に来襲したのが、

2万羽ものエミュー軍。

 

 

まあ、繁殖期を終えた後の移動なんですが、

ただでさえ凹んでいた、

キャンピオンの住人にとっては招かるざる客です。

 

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エミューの大軍

 

エミューは、

背の高さが2mにもなる飛べない鳥。

 

僕は、子供の頃に読んだ「片足ダチョウのエルフ」

という絵本のトラウマで、今もダチョウだけがどうも苦手なのですが、

エミューは、ダチョウよりモフモフしていて意外と可愛い。

 

人懐こく飼いやすいため、最近は日本でも家畜化されていますし、

動物園には、まずいますから、

実物を見たことのある人は多いのでは。

 

 

あの鳥が2万。

 

 

想像してみてください。

 

動物園や牧場で見る、数十羽のエミューじゃないですよ。

 

2万の野生のエミューが土煙をあげてやってくるのです。

 

 

BGMは、ワグナーの「ワルキューレの騎行」

が似合う光景でしょう!

 

 

衝突

 

「ヒャッハ~、ここには食料も水もあるじゃねェか~」

と、キャンピオン地区に居座るエミューたち。

 

農作物を食い漁り、農地の柵は壊されるわ、

その壊れた個所から、ウサギまで侵入してくるわ、

もう大被害。

 

苦しい境遇に苛立っていた住民が、

この迷惑な居候に、怒りの矛先を向けるのは当然ですね。

 

 

「鳥野郎をブチ殺して、俺たちの農地を守れ!」

 

過激な防衛手段で対抗します。

 

 

実は、キャンピオンには、

たくさんの第一次大戦の退役軍人が入植して、

農畜を営んでいたのです。

 

しかし敵は2万の大軍。

 

一羽一羽駆除したって間に合いません。

 

 

そこで住人は、

時の国防大臣ジョージ・ピアースに会い、

機関銃の配備を陳情します。

 

 

ピアースも元軍人。

 

「エミューを撃ち殺すのは、いい射撃練習になりそうやな。」

「おう、殺したエミューの皮で軍人用の帽子でも作ったらいいやん。」

 

「エミュー虐殺の現場を撮影して、報道してもらうのもいいな。」

「農民を助ける政府って支持率も上がるで。」

と考えます。

 

 

とても捕鯨反対を叫ぶ国とは思えないんですが。

 

 

ピアーズは国会に提起して、これが可決されます。

 

一国が、鳥との戦争を決めた歴史的(なのかな?)な瞬間でした。

 

 

部隊がキャンピオン地区に赴き、

ついにエミュー戦争の開戦です。

 

 

戦闘~終戦

 

11月2日、

50羽ほどのエミューの群れに射撃して、

戦争の幕が切って落とされました。

 

そのときの戦果は、十数羽と記録されています。

 

初戦としては、まあまあの出来ですかね。

 

 

第1次作戦

 

その2日後には、千羽の群れと射撃隊が遭遇。

 

「よっしゃ~」と張り切って機関銃を乱射するも、

たった12羽仕留めただけで、銃が動かなくなる大失態。

 

さらに、移動するエミューの群れを撃てるように、

機関銃をトラックに設置するも、

運転手が下手でエミューに近づけない、狙いが定まらないで失敗。

 

 

エミューはおとなしい鳥なのですが、

おとなしく撃たれるほど愚かでもありません。

 

なんたって、

ダチョウと同等のスピード(その時速50km!)と、機動力を誇っているのです。

 

 

散開・逃走するエミューに振り回されて、

たいした成果をあげられないまま一週間。

 

部隊長が

「エミュー、戦車より強いわ~」

と、泣き言をこぼす始末。

 

マスコミにも「効果あるのか!

と叩かれ、軍は一時撤退に追い込まれる羽目に。

 

 

この作戦での駆除数は、

50とも200とも500ともいわれますが、

エミューの勝利といっていいでしょう。

 

 

第2次作戦

 

勝利に気を好くし、

ますます農業被害を拡大させるエミュー軍。

 

しかし、人間様がこのままで引き下がれるか!

 

「この深刻な脅威に、軍が立ち向かわんでどうする!」

と、相変わらず強気のピアーズ国防大臣。

 

 

リベンジの第2次作戦がすぐにスタートします。

 

 

この作戦は一定の成果があったと記録されています。

 

ほぼ一月の間に、千羽のエミューを始末したそうです。

 

 

ただ、これだけ駆除するのに使った弾薬が1万発。

 

1万の弾使って、千羽って……

成功率1割ですよね?

 

射撃の負傷が元で、死んだエミューもかなりいたらしいとはいえ、

効率が悪すぎます。

 

 

こんな税金の無駄遣いを、

マスコミがネタにしないわけありません。

 

国会もさすがに続けられなくなり、エミュー戦争は終結します。

 

でも、オーストラリアの赤っ恥は、これだけで終わらないのでした。

 

 

その後

 

エミューごときに敗北を喫したこの出来事は、

「エミュー戦争」と名付けられ、

マスコミに馬鹿げた国策の象徴として、祭り上げられます。

 

エミュー駆除を要請したキャンピオンの住民も、

戦費の一部を負担することになります。

 

豪政府はその後、

エミュー駆除に報奨金を出すのですが、この結果5万以上の報奨があり、

最初からそうした方がよかったのでは、

と軍まで動かした必要まで疑問視されることに。

 

 

また、エミュー戦争の顛末が外国に伝えられると、

笑いのネタにされるばかりか、希少なエミューを大量殺戮しようなど何事か!

と、酷評まで受けちゃったのです。

 

散々な結果となったエミュー戦争は、今も語り草になっています。

 

歴史の授業で教えられることはない戦争ですが、

いろいろな教訓を含んでいた戦争だった気がします。

 

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オーストラリア軍VSエミュー2万羽~まとめ~

 

史上唯一、人間と鳥が戦った、

エミュー戦争を楽しんでいただけたでしょうか?

 

機関銃まで持ち出して、戦費を費やし、駆除したのは数千羽。

 

すべての歴史学者がエミューに軍配を上げています。

 

 

「エミューなんて楽勝」

と、驕る人間が翻弄される展開は、

まさにパロディ映画。

 

まあ、頭が良いのに、こんな阿呆なこともやっちゃうのが、

ヒトという動物の魅力かな~なんて思います。

 

オーストラリアの、

(いささか度が過ぎた)自然保護意識の高さは、

この出来事の反動から、派生したものかもしれませんね。

 

 

現在、エミューは保護され、肉も美味いので、

家畜化されて数も増えています。

 

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