ホッキョクグマの生態とクマ属の歴史!南極にいない理由は?

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地球温暖化の、

最大の被害者かもしれないホッキョクグマ。

 

流氷の激減で、よくメディアに取り上げられてますよね。

 

食物連鎖という、

ピラミッドの上位にいる生物ほど、環境の変化に弱いのもまた事実ですが。

 

 

今回お伝えしていく内容は、大きく分けて4つ。

 

・ ホッキョクグマが南極にいない理由

・ クマ属誕生までの歴史

・ そのクマ属に分類されるホッキョクグマの

特徴と生態

・ そして絶滅の危惧

 

 

一見すると、それぞれがあまり関係ないように感じるかもしれません。

 

でも、これらは全て繋がっているのです。

 

 

というか、

分かるように僕が勝手に順を追って説明するだけでなんですけどね。

 

でも、ちゃんと繋がっていますし、事の成り行きが分かりますよ。

 

歴史から始まり、最後は絶滅の危惧のストーリーです。

 

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なんで北極?南極にいない理由

 

そもそも、なんで北極にいるんでしょうね?

南極には何でいないんでしょう?

 

素朴な疑問です。

 

 

その理由は、地球の大陸の形状の変化。

 

それと、熊の祖先が誕生した時代が関係しているんです。

 

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現在のクマ科の祖先

 

現在のクマの特徴を持つ、クマ科が誕生したのは、

中新世(500万年前~2300万年前)だと言われています。

 

それで、現在のクマ科の祖先なんですが、

その当時(中新世)、北半球で繫栄していた
ヘミキオンという動物がいました。

 

この動物が、直接的ではないようですが、祖先というか源流だとされています。

 

 

調べてみると、ヘミキオン科は絶滅していますが、

クマ上科の下には、ヘミキオン科とクマ科となってますね。

(これは、僕が忘れないためのメモ)

 

 

ちなみに、ヘミキオンという学名は半分イヌという意味。

 

変な学名だ・・・

 

犬みたいな動物が分岐して、クマ科が出来たのかと思うと、進化って凄いですよね。

 

 

次に、中新世の時代は、地球の大陸はどのように繋がっていたのでしょうか。

 

ここが、ホッキョクグマが南極にいない理由に繋がるんです。

 

 

その前に知っておいて欲しい・・・

ホッキョクグマは、泳ぎの上手な熊ですが、海中に生息する熊ではないです。

 

なので、長距離を泳ぐにも限界があります。

 

それを踏まえた上で、その頃の大陸はどんなだったか見ていきましょう。

 

 

中新世の頃の地球の大陸

 

中新世よりも、遥か大昔・・・

オーストラリアと南極は繋がっていて、同じ大陸でした。

 

その大陸には、多種多様の生物が生存できた環境だったようです。

 

今と比べると南極大陸は、生物が生存しづらいような極寒の環境でもなかったし、

他の大陸とも、近い距離にあったとされています。

 

 

そして時は流れ、中新世になり・・・

(ヘミキオンの時代・クマ科誕生の時代ですよ)

 

この頃には、
既にオーストラリアと南極大陸は分裂してしまっています。

 

しかも、オーストラリアも南極大陸も、他の大陸とはかなり離れてしまっている。

 

 

要するに、

現在のクマ科が北半球で誕生した中新世の頃、

海を挟んだ遥か彼方に、南極大陸は出来上がってしまっていた・・・

 

だからクマ達は、南半球には陸続きに繫栄していくことが出来なかったのです。

 

 

それと、南極大陸どころか、オーストラリアにも熊はいないんですよ。

 

同じ理由で。

 

 

熊が、北半球に生息している理由は、海を泳いで南極大陸に辿り着けなかったから。

 

その中で最北端まで北上して、北極に適応した進化を遂げたのが、

ホッキョクグマになったんですね。

 

その、独自の進化というのも、面白いものがあります。

 

 

ヒグマにはないホッキョクグマの特徴

 

ヒグマとホッキョクグマは、とても近い種だとされています。

 

実際、種の1つ上であるクマ属までは同じです。

 

 

それで、ヒグマの亜種にハイイログマっていうのがいるんですね。

 

このハイイログマの生息域なんですけど、

ホッキョクグマの生息域に近いんですよ。

 

お互い敬遠はしているんですけど、出会う事もあるようで、

ハイイログマとホッキョクグマの雑種も、

自然下でも稀に確認されるそうです。

 

 

その雑種の名はグローラーベアと言われいて、

ネット上にはこんな情報もありました。

 

ホッキョクグマとヒグマは、

人間で言ったら人種程度の差しかなくて、

グローラーベアには繫殖能力まで備わっている。

 

 

本当なのかな?

 

相当な近い近縁であることは間違いないと見ていいと思うし、

人為的に作り出された変種でもないから、

もしかしたら・・・

 

ただ、ホッキョクグマは極寒の地に生息するだけあって、

ヒグマとは違う独特の進化を遂げてきてます。

 

 

現在のクマ科の中で、

最大の大きさを誇るホッキョクグマですが、こんな法則があるのをご存知ですか?

 

ベルクマンの法則って言うんですけど、興味がある人はご存知でしょう。

 

こういう法則です。

 

 

ベルクマンの法則

 

同じ種でも、体が大きい方が寒い環境に生息している。

 

体重と表面積の比率が、「体重>表面積」だからという理屈です。

 

 

分かりづらいですね。

 

 

要するにこういうことです・・・

 

種が同じならじゃ分かりづらいんで、人間で言うとこうなります。

 

「太ってても痩せてても、身長が同じなら、外気に触れる面積は大して変わらないっ!」

 

 

体重が増えることで、太ってくんじゃなくて身長が伸びてったら、

表面積の方が増えるんで、そしたら話は別ですよ。

 

まあ、有り得ない話だし、可笑しな例えですけどね。

 

 

それで、そのベルクマンの法則がホッキョクグマとどう関係してるの?

となりますよね・・・

 

「体重>表面積」の方が、

「熱を蓄える量>外気に触れて熱を逃がしてしまう面積」

に優れている。

 

寒さ対策では、大きい方が有利ということ。

 

 

だからホッキョクグマは、クマ科の中でも最大なのです。

 

ベルクマンの法則だと。

 

 

と言っても、北極圏の環境に適応してから大きくなったのか?

 

それとも、大きい個体が北上する傾向にあったのか?

 

そこは定かではないですが。

 

 

さらに、ホッキョクグマは、体毛まで極寒の地に適応しています。

 

 

ホッキョクグマの毛

 

ホッキョクグマってシロクマとも言うじゃないですか。

 

でも実は、皮膚の色は黒くって、体毛は透明なのです。

 

 

じゃあクロクマになる筈だ!

 

えっ・・・

クロクマって、ただの熊じゃん!

 

 

まあ、当然そうなりますよね。

 

では、何で白く見えるんでしょう。

 

 

それは、毛が透明な上にストロー状だから。

 

ちなみに、そのストローの空洞には熱を溜め込む効果もあるという。

 

 

そして、白く見えるのは理屈で言うとこういう事らしい・・

 

「ホッキョクグマの毛は透明だから、光を反射させずに通過する」

「毛が白く見えるのは、光が乱反射しているから、人間の目には白く見えているのだ」

 

 

よく分からないですよね?

 

僕も科学には詳しくないから分からないんだけど。

 

以下の3点は調べてみて分かりました。

 

 

●透明とは、光が反射せずに通過する状態で、だから先にある物が見ることができる。

 

 

●光を最高に反射した状態だと白く見え、最高に吸収した状態だと黒く見える。

 

そして、白や黒は無彩色と言う。

 

 

●赤や青などの色を僕たちが識別できるのは、

その色が特に強く反射して、それ以外の色は殆ど反射されず吸収されるから。

 

このように僕たちは、

見たものから発せられる光の反射によって、ものを見ることができている。

 

 

この調べた3点は納得いく。

 

でもこれだけだと、「矛盾してるんじゃない?」って僕は感じちゃうんですよね。

 

 

だって、透明で通過したらクロクマに見えるはずじゃん。

 

乱反射してるから白く見えるって言ったって、毛は透明でしょ?

 

じゃあ、反射して見える色は、皮膚である地色の黒なんじゃないの?

 

 

そう思っちゃうんですよね。

 

う~ん・・納得いかないし分からない!

 

 

誰か詳しい方!

 

どういう理屈で、乱反射して白く見えてるのか教えて下さい。

 

 

それでは、コメントで教えて貰えることに期待して、ホッキョクグマの話に戻りますね。

 

白く見えることに関してお伝えしていましたが、

時には、ミドリグマ(緑熊)になったり、

キグマ(黄熊)にもなってしまうんですよ。

 

もう予想つきますよね?

 

 

なんで、そんなんなっちゃうの?

と言うと、毛の空洞にそうなるようなものが混じるから。

 

ミドリグマだったら、空洞の中で藻が繫殖しているし、

キグマだったら、体から出た汚れが混入・蓄積されてる。

 

この状態を見た人が「新種発見!」

と言って、騒ぎになったこともあったそうです。

 

 

ホッキョクグマの特徴と、

ヒグマとの違い・関係性についてでした。

 

その前には、クマ属誕生の歴史も見てきましたね。

 

 

最後に、ホッキョクグマの生態についても見ていきましょう。

 

絶滅危惧種なんですが、その生態も関係しています。

 

 

生息地と絶滅の危機

 

ホッキョクグマの生息地って、北極のど真ん中ではないんですね。

 

北極のど真ん中って、北極海ですから。

 

海の中で生きている訳ではないですし、

泳ぎが上手いと言っても、意味があって泳いでます。

 

 

じゃあ、どこに生息しているの?

というと、北極圏にもいろいろな国々がありますが、その沿岸部に生息しています。

 

北アメリカ大陸だと、カナダ、アメリカの領土のアラスカとか。

 

ユーラシア大陸だと、デンマークやノルウェー、ロシア連邦のシベリア地域なんかが、

北極圏に位置していたり、領土を持っています。

 

 

では、何で沿岸部である必要があるんでしょうね?

 

ホッキョクグマは年間を通して、どのような生活をしているのでしょう?

 

 

7月~11月は大陸で絶食

 

北極の流氷は時期によって増減します。

 

時期って、夏とか冬って意味ですからね。

 

 

ホッキョクグマは、海中に生息する動物ではなく、陸上で生活する動物です。

 

要するに、北極圏の流氷が少なくなったら、

大陸に移動するしかなくなる訳です。

 

 

先程お伝えした、北極圏の国々があるじゃないですか。

 

その国々の沿岸部に移動します。

 

その時期が7月~11月ということ。

 

 

同じ北半球だからかな?

 

日本と温かい時期が似てるんですね。

 

 

そして大陸に移動すると同時に、絶食期にも入ります。

 

「なにも絶食しなくてもいいじゃないか」

 

「木の実でも食えばいいじゃないか」

と思うかも知れません。

(多少は食うみたい)

 

 

でもしょうがないんですよ。

 

ホッキョクグマは一応雑食らしいんですけど、

かなりの肉食寄りの熊らしいんで。

 

 

ホッキョクグマの食事の9割は、アザラシと言われています。

 

アザラシを捕食できなければ、

危険を冒してまで、ホッキョクグマグマよりも遥かに大きな、

鋭く大きな牙を持つセイウチすら狙うぐらいです。

 

しかも、その大きく鋭い牙でグサリとやられ、

命を落としてしまうこともあります。

 

 

そのぐらい肉食性が強い熊なんですね。

 

 

それと、アザラシを狩る時って氷の上で待ち伏せます。

 

泳いで捕まえるんじゃないんですよ。

 

なので流氷の少ない7月~11月は、

ホッキョクグマにはどうにもならない事態なのです。

 

 

地球温暖化による流氷の激減と、

ホッキョクグマ絶滅の懸念には、このような背景が関係してます。

 

このまま温暖化が進み、ホッキョクグマの絶食期が1ヵ月でも伸びてしまうだけでも、

絶滅に向かい、一気に拍車がかかってしまうかもしれないですね。

 

 

それと肉食性の強い動物は、環境の変化に弱いとされています。

 

獲物がいないと、食べていけませんからね。

 

ホッキョクグマの場合だと、

流氷が減ることでアザラシの個体数まで減ってしまったら、

それこそどうにもならないでしょう。

 

 

ただ、こんなデータもあります。

 

800年前のグリーンランドの気温は、

今よりも3度以上も高かった。

 

気になる方は、グリーンランド復元気温で、

ググってみましょう。

 

 

こういう時代を生き抜いてきたホッキョクグマですから、

人間次第な所もあるのかもしれませんね。

 

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ホッキョクグマの生態と歴史~まとめ~

 

どうでしたか?

 

クマ科誕生の歴史と、ホッキョクグマの生態、

ヒグマとの関係性なんかも見てきました。

 

最後におさらいしておきましょう。

 

 

• クマ科の誕生と、その源流であるヘミキオンのいた時代、

この頃には既に、南極大陸が他の大陸と離れてしまっていた。

 

でも、彼らは海を渡ることが出来ない。

 

これが、南極大陸とオーストラリアに熊がいない理由でした。

 

 

• ヒグマとホッキョクグマは、

自然下では雑種も確認されているくらい、とても近い近縁でした。

 

 

• ホッキョクグマの寒さ適正は抜群!

なんと、体毛が空洞でストロー状だった。

 

 

• 暖かい流氷の少ない時期は、絶食期に入る。

このまま温暖化が進んでしまえば、絶滅の恐れも。

 

こんな感じですかね。

 

 

僕的には、グローラーベアは本当に繫殖能力があるのか気になりますが。

 

本当に人種程度の違いしかないのかな~?

 

本望ではないけど、そういう生き残りの道もありますしね~

 

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コメント

  1. 山田 修輔 より:

    北極熊のことがわかって良かった。北極熊が絶滅しないようにしてほしい。

    1. keisuke より:

      コメントありがとうございます。
      そうですね。
      絶滅してほしくないですよね。
      最近だと絶滅が確定したのかな?
      してないにしろ、ほぼ確定であるのはキタシロサイとか。
      そうじゃなくても、絶滅危惧種はどんどん増えてってるらしいですよ。
      それと、
      「絶滅危惧という観点が生まれたのはつい最近」
      というのにもビックリ!
      開拓の時代、ステラーカイギュウ、リョコウバトの頃はなかったんですよね~。
      「娯楽の狩猟により絶滅」
      というのが、世界では普通の感覚だった。
      そう考えると、人類の意識レベルは相当上がったのかもしれないですけどね。
      ホッキョクグマも、キタシロサイのように手遅れにならないように祈りましょう。

  2. 天野正之 より:

    歴史から進化から生態から詳しくかつ分かりやすく解説していて大変面白くすごく役に立ちました。しかも希少生物の保護の大切さに関心が深まりました。

    1. keisuke より:

      天野さん、コメントありがとうございます。

      僕は「生物のみ」だけなら、真に興味がある人ほどではないので、
      このサイトに関しては、殆ど外注さんに記事を書いてもらっています。
      だけど、この記事は僕自身で書いたんですよね。
      気まぐれで。
      ググりまくって。

      僕も凄い勉強になりました。
      知れば知るほど、早く書きたい気分にもなって。
      たった1種の種族でも、調べてみると、とても歴史とドラマがあって面白いですよ~。

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