野生児と呼ばれる人たちがいます。
ターザンとか、『もののけ姫』のサンとか。
「動物に育てられた人間」ということですね。
現実にもいます。
「動物が人の子を育てるなんてあり得ないでしょう」
そう思うんだけど、そんな事例はいっぱいある。
フィクションの野生児といえば……
「純粋な心を持ち、動物たちと強い絆で結ばれている」
「カッコいい動物使い」
「高い身体能力を持った戦士」
こんな印象じゃないでしょうか?
しかし、現実の野生児は悲惨そのもの。
人としての大事なものを失い、社会に馴染めないで早死にする。
動物に育てられた人間の記録は、どれも壮絶です。
彼らはなぜ、
どのようにして動物に育てられたのか?
他者と交わらずに生きた人間は、
どうなるのか?
人間の精神や愛情と、
動物のそれらは違うのか?
野生児の存在は、
「人とは何か」という哲学を文明人に突きつけるものなのです。