最大最強のオオカミ『ダイアウルフ』。
「ああ、ゲームで見たな」
って人も多いのでは?
ファンタジー世界ではお馴染ですが、過去に実在していたオオカミです。
オオカミといえば、現代も堂々とした猛獣。
その最大種であり、最強種ですよ。
「ダイア」も宝石じゃなく、
怖ろしいという意味。
まさにKING of オオカミ!
イヌ族の頂点に立つといっても過言ではないでしょう。
もののけ姫のモロみたいな予感。
それだけで興味を惹かれませんか?
ダイアウルフは人間とも共存していました。
絶滅したので、もちろん今は見られない。
でも、まだ生き残っているという話もある。
恐怖のオオカミ、ダイアウルフ……
ゲームの中と同じく、現代人が戦うことはあるのでしょうか?
目次
ダイアウルフとは
まずはダイアウルフについてです。
ゲームの姿は当てになりませんからね。
現実のダイアウルフを知らなきゃです。
今から30万年~1万年ほど前。
現代のアメリカ大陸に、
ダイアウルフは生息していました。
平地から、2,000m以上の山岳地帯までと、
分布も広かった。
獲物にとっても、怖ろしい捕食者だったに違いありません。
その大きさは!
・頭から胴体が125cm。
・尻尾の長さ60cm。
・肩までの高さは80~90cm。
・体重は60kg。
……あれ?
思ったほど大きくないのでは?
人が乗って走るイメージだったんですが。
だけど、現存するオオカミより、
ちょっとだけ微妙にデカいんですよ。
だから「最大のオオカミ」は間違っていません。
実際、ダイアウルフはいろいろとデカいんです。
巨大な頭部と陰茎骨
ただ、顔は本当に大きかった。
ダイアウルフの特徴なのですが、
横幅の広い頭部は、最大で幅31cm。
横だけではなく、オオカミらしく縦にも長い。
牙も大きく、咬む力は現存オオカミより遥かに強かった。
この大きな頭から、支える首もかなり太かったと考えられます。
逆に手足は小さく、短かったようです。
胸部から頚部にかけてはマッチョ。
短い手足で、ドシッとしたオオカミだったらしい。
さらに、他のイヌには見られない、デカい陰茎骨も持っていました。
男のナニの骨です。
えっ、アソコに骨があるの?
と思われたでしょうか。
男性の読者は今、自分の股間をまじまじと見ていませんか?
陰茎骨は、多くの哺乳類が持っていますが、
人間にはありません。
陰茎骨の長さは、交尾の時間に比例します。
長時間「営める」ための、支えとなる骨なんです。
骨のない俺は早いのか……
と心配されるかもしれません。
人間は、他の哺乳類と比べて早いほうで、
メスの争奪戦をしない一夫一婦制を続けたため、
陰茎骨が退化したらしいのでご安心を。
話が逸れちゃいましたね。
とにかく、ダイアウルフはいろいろと立派な風貌のオオカミだったのです。
ダイアウルフはどんな暮らしだったんでしょうか?
ダイアウルフの化石がよく見つかるのは、
タールピット。
石油などから作られる、黒くドロドロしたタールの溜まった窪地です。
そこにハマった草食動物と、
それを狙って集まった肉食動物も一緒にハマって、そのまま閉じ込められて残った、
タイムカプセル。
<タールピットと化石の博物館>
その様子から、
当時のアメリカ大陸の、野生のドラマがわかるのです。
ダイアウルフの生活と絶滅
今から1万2,000年ほど昔。
アメリカ大陸に辿り着いた人類が見た光景――
それは巨大な獣たちの、命を懸けた戦いでした。
広大な新天地を駆けまわる、
マンモスやバッファロー。
森には、7mのナマケモノ「メガテリウム」
3mのアルマジロ「グリプトドン」
それら草食獣を襲う、
ジャガーやサーベルタイガー(スミロドン)……。
体重1tの凶暴なショートフェイスベアもいました。
そしてダイアウルフの群れ。
タールピットで、
まとまって化石が見つかるので、集団で行動していたようです。
草食獣にとっては、怖ろしい殺し屋集団に見えたでしょう。
<ダイアウルフ、スミロドン、ショートフェイスベアが出演>
しかし、化石からは別な一面もわかりました。
ダイアウルフの口と歯は、
たしかに現存オオカミよりも大きい。
獲物が大きかったからですから。
顔幅が広いのも、
口を広げて、大きな獲物を襲いやすいように進化したからでしょう。
攻撃力の高いプレデター(捕食者)なのは間違いない。
でも、屍肉も食べるスカベンジャーでもあったようです。
いつでも、大きな獲物にありつけるわけでもない。
なんでも食えるのは、自然界では強みなんですよ。
状況に応じて、
プレデターとスカベンジャーを使い分けていたらしい。
現在のハイエナのようなポジションになるでしょうか。
卑屈な印象のハイエナですが、
集団の狩りはアフリカでもトップの狩猟ランク。
おそらくダイアウルフも、古代アメリカの頂点にいたはずです。
そんなダイアウルフにも、絶滅が訪れます。
氷河期が終わって滅んだ!
氷河期が終わったのが1万年前。
マンモスがそうであったように、
ダイアウルフも寒冷仕様の動物だったのです。
気温が上がると、自然環境も変わります。
僕らは、暖かい方が動植物も栄えると思いがちですが、
寒さに適応した生物にとっては、
気温上昇は大迷惑な話です。
温暖化で、ホッキョクグマやペンギンが危ないっていうのと同じすね。
その影響は、まず植物にダメージを与え、
草食獣の餌が枯渇していきます。
大きな草食獣が多かったので、被害も甚大だったでしょう。
草食獣が減れば、それを獲物としている肉食獣の餌だってなくなる。
小動物は生き残っていたでしょうが、
元々、大型草食獣を狩るために適応して、大きくなった肉食獣たちです。
小動物を狩るなんて苦手だったんですよ。
そのせいもあり、
長い牙を持て余したサーベルタイガーなんかは、
1万年前には見られなくなりました。
ただ、屍肉もOKのダイアウルフは、
もう少し生き延びたようです。
化石から、9,400万年前くらいまで、いたことがわかっています。
ダイアウルフの絶滅は多分こんなだったと思います。
しかし、ダイアウルフは雑食で、
サーベルタイガーよりも小さい。
絶滅はもっと先だったのでは?
という意見もある。
とすれば、今でもどこかに?
と思っちゃいませんか?
実は、ダイアウルフの影は現在もちらついています。
ダイアウルフらしい未確認生物もいる!
インディアンたちの伝承のひとつ。
家畜を襲う怪物、シュンカ・ワラキン。
「犬を連れ去る者」
という意味の、古くから伝わる犬型の未知動物です。
カナダにも、ワヒーラと呼ばれるオオカミのようなUMAがいます。
おそらく、同種ではないかと思うんですが。
これらの正体が、
ダイアウルフの生き残りかもしれません。
可能性は高いと思います。
現代に残るダイアウルフ。
あるいは、
ダイアウルフと交配したオオカミがいて、
その血統が、強く出た個体ではないでしょうか。
また、ジェヴォーダンの獣も、ダイアウルフという説があります。
18世紀、フランスで起こった獣害事件。
オオカミに似た獣が、60~100人超を襲ったものです。
詳しくは、
『世界三大獣害事件を選んでみた!史上最悪の恐怖の歴史』
でご覧ください。
獣の正体は今も不明。
歴史的なミステリーですよ。
証言によると、
・獣の頭部は大きい
・胸が厚い
のだとか。
ダイアウルフも、大きな顔と厚い胸板!
モンタージュは似ているじゃありませんか。
ジェヴォーダンの獣がダイアウルフなら、
人為的に、アメリカからフランスに持ち込まれたことになる。
事件にはヤラセ疑惑もあるので、
あり得るかもです。
ダイアウルフは、見るからにタフなオオカミ。
しぶとく今も生きて、伝説を作り出しているのかもしれませんね。
大きいというよりマッチョ!ダイアウルフの特徴~まとめ~
ダイアウルフは頭と胸、ナニまで大きいオオカミでした。
ウロほどではなくても、その姿は威風堂々。
1万年前のアメリカを代表する猛獣です。
もちろん、人間とも戦っていたでしょう。
群れで生活していたことから、社会性や知恵もあったと思います。
意外と、人間の食べ残しを漁るなど、うまく共存していた可能性もありますね。
もちろん、現代の未確認生物との関連はわかりません。
それでも、その血が完全に絶えたとは思えない。
ダイアウルフの遺伝子は、現存オオカミにも受け継がれている・・・
僕にはそう思えてならないんですよ。