リョコウバトの絶滅原因と経緯!一日5万羽も虐殺されていた

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50億もいる動物が絶滅するなんてありえない――と思いますよね?

 

そんな信じられない運命を辿ったのが、アメリカにいたリョコウバトです。

 

 

50億ですよ。

 

「35億」の面白さがわからない僕でも、50億のハトの凄さはわかる!

 

 

それがたった100年ほどで、1羽もいなくなるという異常事態は、

現在70億という人類が、100年後には絶滅するっていうくらいのインパクトです。

 

 

言うまでもありませんが、その引き金を引いたのは人間様。

 

リョコウバトは、

今も「人間の大虐殺で滅ぼされた動物」の象徴として語り継がれています。

 

今回はリョコウバト絶滅の経緯を追ってみましょう。

 

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リョコウバトはかつて50億羽いた

 

リョコウバトは、20世紀の初めまで、

北アメリカ東岸に生息していました。

 

大きさは、普通のハトより大きく、頭から尾の先まで40cm。

 

青灰色で、腹部は紅色

(オスだけ。メスは茶色っぽく地味)、

足の赤いきれいなハトでした。

 

 

夏は五大湖周辺から、冬はメキシコ湾岸まで、

群れで移動することからリョコウバトといわれます。

 

ドラえもんの映画や、

伊坂幸太郎の小説『オーデュボンの祈り』

でも取り上げられた題材なので、けっこう知っている人もいるかな。

 

 

さて、何度も繰り返している50億という数。

 

リョコウバトは、18世紀には50億羽いたというんですが、絶滅してしまって確認もできないし、

「ホンマかいな?」と思うところ。

 

リョコウバトについて、こんな記録が残っています。

 

 

「リョコウバトの群れが横切ると、3日も空が暗い」

 

「群れがとまった木は重さで枝が折れ、根元には雪のようにフンが積もる」

 

「当時アメリカにいる鳥類の総数のうちの4割はリョコウバトだった」

 

 

誰が数えたか知らないけど、

実際に、数億~十数億羽の巨大な群れもあったそうなので、

50億という数字も、それほど盛ったものではないかなーと思われます。

 

 

これほどの大繁栄を聞くと、

絶滅種の話だとは、到底信じられないんじゃありませんか?

 

普通、絶滅種って数が少ないとか、生息域が狭いものなのに、

リョコウバトはむしろ、

数の多さと、広範囲の渡りを誇っていた鳥ですよね。

 

 

でも、絶滅したんです。

 

次はなぜ滅んだのかに迫ってみましょう。

 

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なんで絶滅してしまったの?

 

リョコウバトの絶滅原因の最大は、人間です。

 

 

それ以外にも「美味い」「森の伐採」などの理由があり、

最悪なのは「卵を1年1個しか産まない」という生態。

 

リョコウバトはネズミ算ではなく、

長い時間をかけて、コツコツと数を増やした努力?

の鳥だったんですね。

 

※ネズミ算とは、

1匹が12匹生む、その12匹がまたそれぞれ、

という感じに、どんどん数を増やしていく日本式の例え。

 

 

この繁殖力の低さが、後々困ることになるわけです。

 

 

絶滅の序章

 

新大陸(アメリカ大陸)発見から300年。

 

アメリカにぽつぽつと入ってきていた移民も、

1776年のアメリカ独立を機にドッと増え、

1800年代になると、

増えた人口を賄う食料も必要になりました。

 

 

そこで目をつけたのがリョコウバト。

 

「たくさんいるし、群れに向かって石でも投げれば簡単に獲れる。しかも美味い!」

 

獲らないほうが不自然ですね。

 

 

多勢のリョコウバトは、農業被害や騒音も引き起こしていたため、

駆除と食料調達の、一石二鳥だったのでしょう。

 

 

しかし、あまりにも多い数が人間を狂わせます。

 

あなたもウジャウジャいるアリを踏み潰したり、

群れになっている鳥に石をぶつけたり、

たくさんいる生物を、

理由もなくKILLしたい衝動に駆られたことはありませんか?

 

 

そう、人間は自分の手で多くの命を奪い、血が流れるのを見たいのだ!(……ちょ、怖い)

と、中二病を炸裂させてしまいましたが、当時のアメリカではそれが起こったらしい。

 

食料にするだけでなく、遊びでリョコウバトを狩ることが、半ばレジャーのようになったのです。

 

 

この頃発明された電報システムによって、人々は群れの位置を知らせ合い、

各地でリョコウバトのホロコースト(虐殺)

が発生しました。

 

なにしろ50億ですから、

1億や2億、いや10億消えても問題意識はなかったでしょう。

 

狩っても狩っても、次々と現れるリョコウバトを相手に、

みんなモンスターハンター気分だったのかもしれない。

 

 

1850年頃には、リョコウバトがぱったり見られなくなったといいます。

 

 

ついに絶滅

 

「なんかヤバくね?」

 

さすがのアメリカ人も、この頃になって気づき始めます。

 

繁殖力の低いリョコウバトは、群れであることで繁殖機会を増やし、

1年に1羽だけのヒナを、守り育てる生態です。

 

 

群れがなくなったら、あとは破滅の道をまっしぐら。

 

雪崩を打ったように数が減るのは当然でした。

 

 

そんな頃の1878年、一報がもたらされます。

 

アメリカ的に言うなら、

「いいニュースと悪いニュースだ」という感じ。

 

 

「いいニュースは?」

 

「ミシガン州の小村ペトスキーで、

数億のリョコウバトの営巣地が発見されたのさ」

 

 

リョコウバトの巨大な群れが残っているなら、

数は回復するはず!

 

 

「そりゃグッドニュースだ。

で、悪いニュースは?」

 

「その群れ、やっぱ滅ぼしてやったぜHAHAHA」

 

 

……アメリカン何してるんだ(怒)。

 

 

狩猟民族の白人の本能なのか、

「まだこんなにいるんだから」という安心感か、

パトスキーでは、

毎日5万羽のリョコウバト(ヒナまで)が殺され、

それが5ヶ月間も続いたと記録されています。

 

これは『オーデュボンの祈り』でも、

「パトスキーの虐殺」と書かれていましたね。

 

っていうか、5ヶ月の間、誰もこの辺でやめておこうと思わなかったのが驚きですわ。

 

 

その後、数十万単位の群れが見つかることはありましたが、

それはリョコウバトにとって、

数を回復させるのに、十分な群れではありませんでした。

 

 

1906年に、最後の野生種をハンターが撃って

(なんで撃つ?)自然下で絶滅。

 

1910年に、動物園で飼われていたマーサという名のメスのリョコウバト、

――これが最後の1羽だったんです――が老衰で死に、

50億羽もいた鳥が、信じがたい短期間で完全に絶滅したのでした。

 

 

なんとも悲運なハトです。

 

平和の使者とか持ち上げられてこの仕打ち。

 

でも、最後に一ついい話もしておきましょう。

 

 

リョコウバトは復活する?

 

ラストリョコウバトのマーサの標本は、

スミソニアン博物館に残っています。

 

2012年に、マーサのDNAを抽出し、

リョコウバトに似ているオビオバトを使って、リョコウバトを復活させられるかもしれないと、

学者グループが発表したのです。

 

 

要するに、

現在のゾウの胚(受精してから、ある程度の形になるまでの初期の段階)に遺伝子操作して、

マンモスを産ませるみたいな夢物語なんですが、

近い未来に、絶滅した生物も見られる可能性に、期待せずにはいられません。

 

 

できれば僕が生きている間に、

リョコウバトが復活できれば焼き鳥で食ってみたい。

 

そんなことを思うようでは、

僕もリョコウバトを滅ぼした連中と変わらないんでしょうね。

 

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リョコウバト絶滅の経緯~まとめ~

 

絶滅種は数あれど、リョコウバトほど劇的に滅んだ生物はいないでしょう。

 

50億にも繁栄したのに、人の手によって激減の憂き目を食らい、

後で見つかった大きな群れまで虐殺されて、

100年ほどで、1羽もいなくなってしまうというストーリーは、

いろいろ考えさせられます。

 

僕もこの記事を書きながら、

子供の頃に、生き物を意味なく殺したりした頃を思い出し、

自分の中にある残虐性と、改めて向き合えた気がするのです。

 

 

リョコウバト絶滅の話は、

人間という動物の、特殊さが垣間見られるように思えます。

 

あなたは何を感じましたか?

 

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