「北海道にゴキブリはいない」
誰でも一度は聞いたことがあるでしょう。
ほとんど定説になっているといっていい。
実はこの記事のライターである僕は北海道出身。
「ゴキがいないなんてうらやましい」
とよく言われます。
どうやら多くの人にとって、ゴキブリは親の仇のような憎き敵らしい。
それだけで「北海道は天国」と思われちゃってる。
でも、あのシブといゴキさんが北海道に侵入できないなんてあるでしょうか?
そこまで北海道って過酷なの?
自然が多く、むしろ虫の楽園みたいな印象じゃないですか?
皆さんの「北海道観」は正しくないかもしれませんよ。
ゴキブリいない説の真偽と、北海道の虫事情をお教えしましょう!
目次
北海道にもゴキブリはいる!
結論から言います。
北海道にゴキブリはいないという噂。
これ、半分当たりで、半分間違っています。
どういうことなのか詳しく解説しましょう。
ゴキブリは暖かい場所を好みます。
北海道は寒冷で、海を隔てている。
ゴキブリが侵入しにくいこと間違いない。
事実、昔はまったくいなかったようです。
ところが、現在は温暖化の時代。
人間や物資の行き来が盛ん。
青函トンネルで、今は陸続きにもなった。
しかも北海道の建物は防寒がしっかりしていて、とても暖かい。
真冬でも家の中では半袖シャツで、
アイスクリームを食べているような土地柄。
外はともかく、家ならゴキブリも住めそうです。
当然、北海道にもゴキブリは入り込んでいる。
「ゴキブリがいない」
というのは嘘。
ただし、北海道にいるのは、
2cmほどのチャバネゴキブリです。
昭和40年代辺りから少しずつ増えてきたと思われます。
チャバネは日本全国で見られますね。
それじゃあなんで「ゴキブリがいない」
と広まったんでしょう?
ゴキブリいない説の理由は?
ゴキブリといって誰もが思い浮かべるのは、
クロゴキブリ、ワモンゴキブリといった大型種じゃありませんか?
楕円形の体、
てかてかした黒や茶色の翅、長い触覚。
「これぞゴキブリ」
っていうゴキさん。
そういうゴキが北海道にいないのです。
侵入はしているでしょう。
札幌や函館で、確認された記録もあることはある。
それも極めて稀で、増えてはいないらしいです。
やはり大型ゴキブリには北海道はちょっと寒いのでしょう。
冬はもちろん、夏でも「見た」って話は聞いたことありません。
さらに、チャバネも生息の場が限られています。
北海道でゴキブリは希少だった!
北海道でチャバネゴキブリが見られるのは、
都市部の飲食店が並ぶ繁華街など。
飲み屋の床を這っていたり、
ファミレスのテーブルの上を歩いていたり。
一般家庭にはほぼ出ません。
それでもゴキブリを見慣れておらず、ゴキブリといえば、
大型種しか思い浮かばない道産子は、
チャバネをゴキブリと認識していない節がある。
「コオロギかな」
なんて感覚です。
生き物好きの僕が「ゴキブリだよ」と教えても、
「まさか」って反応。
チャバネはゴキブリ感薄いですからねー。
その繁華街のチャバネゴキブリさえ、
そうしょっちゅう見るものでもない。
まったく見たことない人も珍しくありません。
だから道民は、
「ゴキブリ?北海道にはいないよ」
と平気で言う。
普段見ないのだから、
「いない」
と言っても差し支えないかと思います。
代わりに……
というわけでもないんですが、道産子はゴキブリを見ると興奮します。
名前は知っていても、見たことがない。
道民にとって、
ゴキブリは「異世界の未知動物」。
旅行先なんかで初めてゴキブリを見ると、怖いより先に、
「これが噂のゴキブリかー!」
となるわけです。
僕もそうでした。
日夜ゴキブリと戦っている本州などの人には、
まったく意味不明の感覚でしょうね。
ちなみに北海道や沖縄では、本州・四国・九州を「内地」と呼びます。
つまり、自分たちは本土以外の外地であると考える。
「ゴキブリいない説」の流布は、
「北海道は別天地」
みたいなところも理由かと思います。
事実、北海道は内地とでは、動物相が大きく異なるのです。
ゴキ侵入を阻むブラキストン線とは?
津軽海峡には、
ブラキストン線というラインが引かれています。
ブラキストン線とは動物相の境界線のひとつ。
要するに、
「この線を境にあっちとこっちで動植物がガラリと変わりますよ」
というものです。
イギリスの動物学者、
トーマス・ブラキストン(ブレーキストン)の調査でわかったのです。
ニホンザルの北限は青森。
北海道にサルはいません。
ヒグマの南限は北海道。
内地にヒグマはいませんが、ツキノワグマがいて、これは北海道にいない。
植物も同様です。
庭木で馴染みのツバキやキンモクセイは、北海道ではあまり見られません。
青森までは中国大陸系の動物なのですが、
ブラキストン線の北はシベリアの動物相なのです。
ゴキブリは南方系の生き物なので、北海道は住みにくいってわけ。
北海道はゴキブリの苦労がないことはたしかです。
その噂があるせいか、
「北海道は虫の被害が少ない」
と思っている人も多い。
しかし、北海道は自然がいっぱい。
とすれば、虫だってたくさんいるはず。
北海道の虫事情はどうなっているんでしょう?
北海道は虫が多い?少ない?
北海道には虫が多いのか?
ゴキがいなくても、虫嫌いには切実な問題ですよね。
僕の感覚でいえば、虫の害は変わらないと思います。
地域により、カメムシ、ワラジムシ、
ハサミムシ、クモはよく出ますが、それはどこでも同じですよね。
たまにゲジゲジ、カマドウマの侵入もあるけれど、被害が大きいものでもない。
ゴキブリやハエのような都市に適応した虫は、
むしろ少ないでしょう。
大きい虫、危険な虫なら、
温暖な地域のほうがずっと多い。
涼しい北海道は、虫も比較的小ぶり。
活動的でもなく、短い夏にちょっと目にするって感じ。
虫嫌いには住みやすいと思いますよ。
では逆に、ゴキブリの代わりに出る北海道特有の虫ってのはいないんでしょうか?
北海道にいる虫、いない虫
ゴキブリほど人を悩ませる虫は、正直思いつきません。
「そもそも北海道にはいない」
って虫がけっこういます。
「元々、本来は」
って意味ですよ。
タガメやクマゼミは全然いない。
カブトムシやスズムシもいなかったんですが、
今は移入されたものがいます。
ゴキブリ同様、他の昆虫にもブラキストン線の壁は高いようですね。
北海道らしいといえば、晩秋の風物詩、雪虫が挙げられるでしょう。
綿毛をつけた小さな羽虫です。
西日本にもいますが、北海道のは特に有名。
雪が降る前触れとして、一斉に飛び立ち、街にも溢れます。
「白い妖精」
なんて呼ばれ、観光客は喜ぶかもしれません。
でも、「ついに冬か」
と道民はうんざり。
数が多いので、
外出すれば口や鼻に入ることもしょっちゅう。
地元ではあまり歓迎されない。
ゴキブリのような不快感はないとしても、
11月頃の雪虫のシーズンは、虫嫌いさんは旅行しないほうがいいかもです。
(それでも昔よりは雪虫もずっと少なくなっていると思いますね)
昆虫はもっとも繁栄している生物。
虫のいない場所なんて南極ぐらいでしょう。
どこに行っても、虫には大なり小なり苦労するってこと。
多少の共存はしかたない。
虫も住めない場所では、人間も生きてゆけませんからね。
一般家庭ならば安心!ゴキブリがいないは半分本当~まとめ~
北海道の虫事情を解説してきました。
僕の体験や感覚を参考にしているので、少し違うところもあるかもしれません。
それでもゴキブリに出会うことはそうないでしょう。
いたとしても、チャバネゴキブリ程度。
他の虫だって極端に多いとは思えません。
「ブラキストン線ありがとう!」
ですね。
まあ、子供時代の僕はいろいろな昆虫が見られず、残念だったんですが。
ゴキブリとはやっぱり友達にはなれそうにないので、
今は道産子でよかったかなと思っています。
内地製の人間ですが、ゴキブリ見るとテンション上がります……というか、生き物が好きなんだと思います。
癒やされる。
ゴキブリってじっとしていると可愛いですよね……同意が得られた経験はないですけど(笑)
あと某南の島国に住んでいた頃は、普通に道路上にゴキブリの死骸もあって慣れました(笑)
でも蚊とか蝿は無理です、羽音が駄目なのです……ついこの間も、耳に羽虫が入ってパニックに(泣)
ということは雪虫は駄目かもしれないですね……。
蜘蛛は好きです、というか全然害虫じゃないですよね? どんどん蚊を食べてほしい←
しかし北海道で認識されていないゴキブリ、ブラキストン線、非常に興味深いです。
一度一年くらいはかけて、存分に北海道旅行してみたいです……無謀ですが……。
面白い記事をありがとうございます……。
いくら丼さん、2件もコメントありがとうございますね。
記事を書いたライターじゃなく、管理人です。
実は、僕も内地の人間なんですよ。
東京なので、ゴキブリは僕も見慣れてます。
夜勤で働いてると、路上で夏場はよく見かけますね。
ちなみに、2件ともコメント頂いたライターさんのサイトをご紹介。
https://ani-mys.com/
好みが合うかも!って思って。