狂気?風習?カニバリズムの真実を事件3種で解説

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生物界で「共食い」は珍しくありません。

 

しかし、「人間が人間を食う」だったら?

 

そのショッキング度合は高いのではないでしょうか。

 

理性も知恵も情愛も持つのが人間。

その人間が、

ケダモノのように同族を食らうなんて!

 

 

この「食人」を「カニバリズム」といいます。

 

「カニバリズムなんて、特殊な猟奇殺人事件くらいでしょう」

そう思いますか?

 

 

人食いは決して特殊な出来事じゃありません。

 

「カニバリズム」とネット検索すれば、

人食い事件はいくらでも出てきます。

 

世界中……

いや、この日本にだって数多くあるんですよ。

 

 

人食いは意外と身近にある。

 

あなただって、

いつ「食う人」や「食われる人」になるかわかりません。

 

 

カニバリズムはどうして起こるのか?

 

今回は3つの「人食い」を取り上げて、

カニバリズムの謎に迫ってみたいと思います。

 

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伝説的食人鬼ソニー・ビーン

 

人気漫画『進撃の巨人』に、

「ソニー」「ビーン」と名付けられる巨人が出てきます。

 

この基になったのが、

イギリスの人食いソニー・ビーン。

カニバリズムといえば、まっさきに出てくる名前です。

 

カニバリズムの代名詞と言っても過言ではない。

 

これがかなり胸クソの悪い事件でした。

 

 

15世紀初頭。

スコットランド南西部で、奇妙な事件が起こります。

 

住民や旅人が次々と行方不明になる。

 

 

「獣にでも襲われたんじゃないか」

「まさか悪魔の仕業ではないだろうな」

 

数十年に渡り、年々増えていく不明者に、地域は暗い空気に覆われます。

 

警察が動くも、その手掛かりはまったくつかめません。

 

 

そんなある日。

一組の夫婦が、人間の集団に襲われました。

 

妻は殺されましたが、夫は馬で難を逃れ、役人に訴えます。

 

この集団こそ、ソニー・ビーンの一族だったのです。

 

 

ソニー・ビーンは町で暮らしていましたが、

根っからのろくでなし。

 

仕事をやめ、

性格の似た女と知り合い、一緒に強盗を始めます。

 

満潮になると入口が隠れてしまう海岸の洞窟に潜み、人を襲っていたのです。

 

被害者は必ず殺す。

そうすれば犯行がばれることはありません。

 

 

しかし、盗んだ金だけでは食料がまかなえない。

 

そこで、殺した被害者を食べる。

 

ステーキやシチューなど、人肉レシピはけっこうあったらしい。

 

 

ソニーと女は強盗しながら、14人の子供を作ります。

 

その子供たちが近親で交わり、さらに子供ができる。

 

20数年で、一族は50人ほどの大所帯となりました。

 

それはケダモノのような殺人ファミリー。

人知れぬ洞窟で人を殺し食らう、恐怖の集団でした。

 

 

長年の悪行は、夫婦襲撃の失敗で終わります。

 

夫の訴えは国王の耳にも届き、

400人の兵士が出動。

 

洞窟が発見され、一族は捕まりました。

洞窟の中には無数の人骨が!

 

その被害者は「千人以上」とも伝えられています。

 

 

当然、一族全員は処刑。

 

子供たちは罪の意識がまったくなかったといいます。

 

生まれた時から、ろくな教育も受けず、

「人を殺して食う」

が普通だったんですからね。

 

食人は日常にもなる例でしょう。

 

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心理分析!人を食いたくてたまらない!

 

これは犯罪型のカニバリズムです。

 

「フェティシズム(性的嗜好)での食人」

「犯罪隠ぺいのための食人」

 

いわゆる猟奇殺人事件で見られます。

 

人食いという背徳的行為に興奮を覚える。

映画のハンニバル・レクターはこのタイプですね。

 

 

現実にも、ブルックリンの吸血鬼・アルバート・フィッシュ。

 

世界一の凶悪犯罪者といわれる、

ウクライナのアンドレイ・チカチーロ。

 

パリ人肉事件の佐川一政、

連続幼女誘拐の宮崎勤……。

 

切り裂きジャックなど、

稀代の犯罪者が並びます。

 

 

死体を消す目的の場合は、他人事ではありません。

 

捌いた人肉を料理に使い、客に提供していた事例も山ほどあるんです。

 

ソニー・ビーンも当初は隠ぺいだったんでしょう。

 

 

でも、

子供も多く「お盛ん」だったようですから、

フェティシズムも当てはまりそう。

 

まともな人間とは思えません。

 

ソニー・ビーンの話は伝説的です。

 

作り話という意見もありますが、

カニバリズム事件の古典として世界的に有名です。

 

 

有名人が食べられたと考えられるカニバリズムもあります。

 

 

ロックフェラー財閥の悲劇

 

1961年。

ニューギニア島で、一人の民俗学者が行方不明になりました。

 

乗っていたボートが横転し、

「助けを呼んでくる」

と岸に上がったまま、戻って来なかったのです。

 

 

太平洋に浮かぶ、

世界で2番目に大きい島ニューギニアは、

今も秘境。

 

遭難事故は少なくありません。

 

でも、この民俗学者の消失は、大ニュースとなります。

 

 

23歳だった学者の名は、

マイケル・ロックフェラー。

 

アメリカの石油王・ロックフェラー家の一員だったからです。

 

 

父親のネルソンは、当時ニューヨーク州知事。

後にアメリカの副大統領にもなった権力者。

 

今もロックフェラー家は、

大国アメリカを牛耳る名門の筆頭です。

 

その御曹司マイケルが消息を絶った。

 

一国の王子が消えたようなものですよ。

 

 

もちろん、大捜索が行われます。

 

しかし、マイケルの行方は手掛かりもない。

 

「密林に消えた大富豪」

と、今でもミステリーになっています。

 

 

 

マイケルが研究していたのは「首狩り族」。

 

実はこの時代、東南アジアや南洋の島々には、

人間を狩って食べる原住民が普通にいたんです。

 

人食いが禁じられたのは、ほんの数十年前。

 

 

後日、あるジャーナリストに原住民が語ったといいます。

「昔、白い人間を食べた」と。

 

これが白人のマイケルだったのかもしれません。

 

 

マイケルの研究対象が首狩り族だったこと。

 

現場に人食いの部族が多かったこと。

 

遺体も遺留品も見つからないこと。

 

それらを考え合わせれば、可能性は高いでしょう。

 

 

心理分析!文化として根付いた人食い

 

首狩り族のカニバリズムは、

儀式のようなものです。

 

カニバリズムは、

カリブ海の原住民を指す、

スペイン語の「カニバル」が語源。

 

お祭の「カーニバル」と勘違いしてませんでしたか?

(僕はそうでした)

 

 

でも、一種の祭事でもあるんです。

 

その人間を食えば、その力や能力を自分のものにできる。

悪意はありません。

 

食人の文化は広く、世界中で見られます。

 

それらは「食う」というより、

「パワーを受け継ぐ」行為なのです。

 

 

なので、葬儀でのカニバリズムもある。

「亡き先人の魂よ、我の中で生きろ!」

って感じかな。

 

そんな文化を持つ民族が、最近までいたんですね。

 

残酷にも思えますが、僕は原始的で美しくも感じます。

 

 

一方、悲しいカニバリズムも存在します。

 

 

日本で起きた「ひかりごけ事件」

 

太平洋戦争さなかの2月――

 

オホーツク海に面した羅臼町の家に、

一人のみすぼらしい格好の男が現れます。

 

 

「助けてくれ……」

 

家の者が理由を聞くと、

「自分は第五清進丸の船長だ」

 

「船が知床半島の沖で難破した」

 

 

「乗組員は7人で、生き残ったのは自分だけ」

 

「なんとか岸にたどり着き、漁師の小屋で海藻を食って生き延びた」

という。

 

 

 

清進丸は、軍に借り上げられた民間の船。

 

根室からオホーツク海を北上して、

小樽に向かい物資を運んでいました。

 

 

ところが、時期は12月の北海道。

荒れた海で船は座礁。

 

岸まで泳ぎ着いたものの、冬の知床は陸の孤島も同然です。

 

深い雪と悪天候で、人里まで来ることは不可能。

 

たまたま見つけた漁師小屋で、飢えに耐えながら3ヶ月あまり。

 

 

小屋は、夏に漁をする人が寝泊まりするもので、

雨風がしのげる程度のボロ家です。

 

やっと少し暖かくなったので、町まで下りてきたとのこと。

 

「冬の知床に12月から2月まで!」

人々は驚きます。

 

 

その時期、知床は猛吹雪が吹き荒れ、連日気温はマイナス二桁。

 

ボロ家で、食料もなく、3ヶ月も生きられるはずがない。

 

「奇蹟の神兵だ」

船長はスターのように扱われます。

 

 

戦時中、奇跡的な生還を果たした人は、

「神兵」「軍神」などと崇められた。

 

「日本強ェー」

の象徴みたいなもんですからね。

 

 

 

さて、夏になって知床でも漁が始まります。

 

ある漁師の使っていた小屋に、荒らされた形跡が。

 

「なるほど、神兵様はここにいたのか」

漁師は悪い気もしません。

 

 

近くの岩場に、見慣れない木箱がありました。

 

「船の積荷でも流れてきたのか」

と箱を開けると……。

 

人骨や剥ぎとられた皮が!

 

 

骨をよく見れば、ナイフで切られたような痕もある。

 

「あの船長、誰かを殺して食ったんじゃないか……」

 

漁師が訴え、船長は事情を聞かれます。

 

 

 

真相はこうです。

 

実は船長以外に、18歳の船員も小屋に辿り着いた。

 

二人で海藻を食べて、40日ほどなんとか生きていました。

 

 

しかし、18歳の船員が餓死。

 

「飢えていたので死体を食べた」

と自白したのです。

 

船長は、

「殺したのではない」

といいます。

 

後の裁判でも、

「殺人罪」ではなく「死体損壊罪」。

 

本当のところはわかりません。

 

 

船長は「神兵」から「犯罪者」に転落。

 

戦争中の悲劇ともいえるでしょう。

 

この事件をモデルに書かれた、

小説のタイトルから、「ひかりごけ事件」と呼ばれています。

 

 

心理分析!カニバリズムは誰でもする

 

戦時中、人を食べることはあったようです。

 

食料のない戦地で、

戦死した人間を食べる。

 

飢餓から、生きた人間を殺して食べた例もあるかもしれない。

 

それに、

自然界での生物の共食いと、現代人での共食いとでは訳も違います。

 

むろん、殺人は許されません。

死体であっても、共食いは人道的に問題です。

 

 

だけど、

ひどく飢えていて、目の前に人間の死体がある。

 

あなたは、

「絶対に食べたりしない」

と言い切れるでしょうか?

 

現代の日本では、飢えることはまずありません。

 

しかし、災害は多く、孤立し食糧難になる可能性はある。

 

あまりの空腹で、善悪の判断力も失っていたら……。

 

 

2012年には、

薬物でおかしくなった男が人に咬みついた、

「マイアミゾンビ事件」

というのがあります。

 

<マイアミゾンビ事件>

 

これはカニバリズムに当たらないかもしれませんが、

被害はどこでも起きるといえるでしょう。

 

 

ひかりごけタイプのカニバリズムは、

多くの遭難事故で報告されています。

 

ただし、「緊急避難」と扱われる。

 

その状況では仕方がなかったというのです。

 

 

 

最後に、ひとつ加えておかないとなりません。

 

儀式、緊急避難の食人が、

嗜好となった例も少数知られています。

 

仕方なく人を食っていたら、カニバリズムが止められなくなった。

 

 

そのメカニズムはわかりません。

 

研究によれば、人肉はカロリーも少なく、美味しくはないのに。

 

人食いには、なにか魔性のようなものがあるのでしょうか?

 

僕たち人間の脳の、

ずっと奥にある獣の本能が呼び覚まされるとか。

 

 

カニバリズムは決して「一部の人間」の話ではないのです。

 

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色々ある!カニバリズムの種類~まとめ~

 

「ソニー・ビーン一族の凶行」

 

「首狩り族の島で消えたロックフェラー」

 

「極限での食人・ひかりごけ事件」

 

3つの事件からカニバリズムを考えてきました。

 

 

あえて特徴の違う3つを選びましたが、どう感じましたか?

 

僕は「おぞましい」と思いながら、興味も尽きない。

 

目の前に鏡を突きつけられたような感じというか。

 

「お前だっていつかは人食いになるのさ」

という無言の指摘をされている気がするんですよ。

 

 

「自分は大丈夫なのか?」

一度問いかけてみてほしい。

 

鏡の中のあなたの分身が、

舌なめずりをしていなければいいんですが……。

 

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