「鶴は千年」
っていうけど、昔は千年生きてたの?
ツルってもしかして長生きな鳥なのかな?
ツルはカラスと違って、身近で見かけることもないですし、
セキセイインコみたいにペットとして飼育したこともなければ、
どれくらい生きるのか分からないですよね?
でも、鶴は千年という位なのだから・・・
かなり長生きする生き物なのでしょうか?
でも、フツー千年も生きるなんて、ありえない!
じゃあ、どうしてそんなことが言われるようになったのか?
由来と実際の寿命などをお伝えしていきます。
鶴の寿命は長いの?
鶴の寿命は飼育されているもので50年。
野生のものなら平均で30年くらいの寿命らしい。
鳥の仲間では、小型のスズメで2~3年、
ウグイスで8年、ニワトリで10年。
長生きのフクロウで60年。
大型の鳥であるツルの寿命が30年というのは妥当な感じがしますね。
鳥の中では、やはり長寿の生き物になります。
でも、長寿国、現代日本からすれば短いかな。
人生これからの時に寿命ですもの。
しかし、日本人の平均寿命が短かった昔なら、
同じくらいの寿命とも言えますね。
(江戸時代で30歳~40歳くらい。それ以前、戦国の世ならもっと短かったかもしれません。)
昔の人にとって同じくらいの寿命のツルは、
日本人にとって身近な生き物だったのでしょうか?
鶴の種類と寿命
世界には15種類のツルが知られていますが、
日本で見られるツルは7種類ほど。
マナヅル、ナベヅル、クロヅル、カナダヅル、
ソデグロヅル、アネハヅルと留鳥のタンチョウです。
留鳥のタンチョウ以外は大陸から冬鳥として、
日本(主に西日本)にやってきます。
その多くはナベツルとマナツルです。
クロヅルは、ナベツルとマナツルの群れに少数混じって飛来しますが、
それ以外のツルは稀にしか来ません。
マナツルとナベツル
マナツルとナベツルは、
中国東北部とアムール川流域(ロシア)や、
それよりやや北の地域で繁殖して、
中国揚子江流域、朝鮮半島、
そして日本の西南地域(鹿児島県出水市、ナベツルは山口県周南市でも)で越冬します。
大きさは、マナツルは112~127㎝ほど。
全身が、青みがかった灰色の羽毛でおおわれ、
頭頂から首の後ろ、喉などは白い羽毛におおわれています。
目のまわりの赤色で、羽毛ではなく皮膚の色になります。
ナベツルは体長91~100㎝くらい。
首から上は白いが、体は黒灰色。
頭頂部は羽毛がなく赤色。
どちらとも国の特別天然記念物に指定されています。
平均寿命は飼育下で、
マナツルで45年、
ナベツルは20年といわれています。
では日本の留鳥、タンチョウはどうなんでしょうか?
折角の日本の留鳥です。
歴史についても見ていきましょう。
タンチョウ
現在、留鳥のタンチョウは、
北海道の東部の湿原に分散して繁殖していますが、
冬の間、ほとんどの固体は釧路湿原で越冬します。
やはり、冬場はエサが探しにくいのでしょうかね。
釧路管内の給餌場に9割以上来るそうです。
現在、北海道の東部でタンチョウ、
西日本ではナベツルとマナツルが観察できますが、
東日本ではツルは見られなかったのでしょうか?
昔話などに出てくるように、ツルは身近な鳥ではなかったのでしょうか?
留鳥のタンチョウは、明治以前は北海道の各地に生息していました。
また江戸時代には、日本各地でもみられたそうで、
記録が残っています。
冬鳥として北海道から、(あるいは大陸から)飛来していたのですね。
やはり、ツルは日本人にとって、とても身近な鳥といえますね。
その後、銃による乱獲や、生息地の湿原の開発により、
激減したといわれています。
一時は絶滅したのでは?
と思われましたが、
1924年に北海道に数十羽発見され、1935年に天然記念物、1952年に特別天然記念物に指定され、
現在では1800羽程にまで生息数を増やしています。
「タンチョウ(丹頂)」は、日本で野生として生息している唯一のツルで、
名前の通り、頭頂部が赤く、
白い羽毛の中に黒い羽毛が、絶妙のバランスで配色されている美しい鳥です。
頭頂部の赤い部分は羽毛ではなく、
こぶ状の皮膚がむき出しで、赤色は血液の色。
その部分をクローズアップしてみると、ちょっと不気味かも。
遠くから見ると、白、黒、赤のコントラストがとてもきれいなんだけどね。
興奮したり威嚇したりすると、
血流がよくなり赤い部分が膨張して大きく見えるそうです。
ニワトリのトサカと同じみたい。
体長は102~147㎝、翼を広げた大きさは240㎝と、
国内最大級の鳥といわれています。
このタンチョウで、
平均寿命20~30年。
飼育されたものだと50年ほど。
ではツルの仲間で一番長生きなのは?
それは、
アフリカに生息する、
「カンムリツル」です!
平均寿命は、
なんと50~60年!
野生のタンチョウツルの2倍近くも長生き。
でも千年には遠く及びません。
ではどうして「鶴は千年」なんていわれたのでしょう?
千年の由来はどこから?
中国の思想書「淮南子(えなんじ)」に、
「鶴壽千歳(かくじゅせんざい)」というのがあり、
これが「鶴は千年」の由来とされています。
鶴は千年も生きる、縁起の良い生き物と思われていて、
越冬で、遠い国から日本に飛来してきます。
姿も大変美しいし、夫婦仲もよく、
求愛のダンスを踊ったりするのを見たりすると、
娯楽の少ない時代であれば、絵やお話などの題材にもなりますね。
そうやって人々の間に、
鶴は長生きで、美しい縁起の良い生き物として、
認識されていったのだと思われます。
「鶴は千年」は、
単に生物学的な寿命を言った訳でなく、
遠い国から毎年飛んでくる鶴が神秘的で、
永遠の命を持っているように思って言われていたのかもしれませんね。
鶴の寿命と千年の由来~まとめ~
「鶴は千年」といわれていますが、
実際のツルは野生のもので20年、30年程の寿命しかありません。
飼育して50年。
遠いアフリカのツルで50年、60年程。
千年生きるツルはいません。
しかし、その美しい姿から、
毎年渡り鳥としてやって来る姿に、悠久に続く命を感じて、
人々が、鶴のように長生きしたい、夫婦仲良く、子孫繁栄、永遠の命を願って、
「鶴は千年」といわれたのでしょう。
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