日本の国鳥はキジですね。
トキと思っている人もいると思うけど。
「でもキジってさぁ、狩猟の対象じゃん」
って意見もあると思うんですよ。
そんなのが国鳥でいいのか?
ってことですよね。
確かに、言われてみればそうかも知れない。
そんな疑問にお答えすべく、調べて記事にしてみました。
今回お伝えする内容は、
キジが選ばれた時の選定基準と、時代背景。
その後に、トキ、ヤタガラス、ツルをその基準に当てはめてみます。
なんというか、日本っぽい鳥なんで。
それでは、時代背景から順に、詳しく見ていきましょう。
目次
国鳥を決めることとなった時代背景
いつ誰が決めたのでしょうね?
時代は、第二次世界大戦が終わり、
GHQ(連合国軍最高司令部)が日本にやってきた頃です。
GHQのある部署の人が、日本のいろいろな事を詳しく調査したところ、
日本の野鳥があまりに少なく、保護が必要だと強く訴えたそうです。
戦中、戦後は食料事情がかなり厳しく、食べられる物はなんでも食べ、
食べられなそうな物でも、なんとか工夫して食べられるようにしていた。
そんな体験談をテレビで見たり、記事で読んだりした事があります。
そんな状況では、野鳥の保護どころではなかったでしょうにね。
アメリカの、野生生物の保護に関しての考え方は、
その頃の日本の、一歩も二歩も先を行っていました。
過去には、5億羽もいたリョコウバトを、短期間で絶滅されるなど、
モンスターハンターの歴史、
ハンターレベルも日本とは別格です。
同じ過ちを繰り返さないための、
保護への気持ち、エネルギーが違うんですよ。
そんなGHQの訴えに応え、
その保護の手始めとして、日本も国鳥を決める事となります。
当時の文部省から、日本鳥学会が依頼を受け、
昭和22年3月に、日本の国鳥としてキジが選ばれることとなりました。
しかし、どういった理由で、キジが国鳥に選ばれたのでしょうね?
候補としては、ヤマドリ、ウグイス、ヒバリなども挙がっていたそうですよ。
何故キジでなければいけなかったのか?
5つの選定基準に、合格したのがキジだったからです。
キジが選ばれた5つ理由
●第一の理由!日本の固有種である事
ニホンキジは、日本の固有種だと断言されていました。
現在だと、
朝鮮半島に生息するコウライキジの亜種で、
固有種ではないという見解もあります。
●第二の理由!留鳥である事
留鳥は、いつも身近にいて、国民に親しまれているとされています。
だけど、キジを実際に野外で見たという人は、
現在ではあまりいないですよね。
昭和22年頃は、少し街中から離れれば田畑が広がっていたそうですよ。
キジが棲みやすい草むらもあり、
見かける機会が多かったのが、選ばれる理由になったのでしょう。
●第三の理由!美しい事
この点には、誰もが異論はないと思います。
赤い顔に、メタリックに輝く緑色の首。
すらりと長めの尾を持ち、体長は約80cm。
堂々としいる印象もあり、美しいです。
●第四の理由!肉が美味
肉が美味しく、狩猟に最適だという事だそうです。
現在の、私たちの観点から見ると、少々疑問な点ですね。
●第五の理由!イメージ
昔話などによく登場し、なじみ深い。
桃太郎とか。
しかも、オスは勇敢で、
メスは母性愛の象徴として、
古くから日本人に良いイメージで親しまれているから。
この五点が、選ばれた理由とされています。
肉が美味しいとかありましたよね。
「えっ、国鳥なのに食べちゃうの?」
とツッコミを入れたくなった方は多いんじゃないでしょうか。
そもそも国鳥って何なんでしょうね?
世界規模で見てみると分かるかも知れませんよ。
国鳥なのに狩猟対象!そもそも国鳥って?
実は、国鳥が狩猟になっているのは日本だけだそうです。
こういう事を知ってしまうと、
「なんとかしようよ」
と思ってしまう人が増えるかもしれませんね。
ですが、狩猟とは少し意味合いは違うんだけど、
似たような理由で国鳥に選んだ国もあるんですよ。
日本以外の国鳥にも目を向けてみます。
選定基準が似ている海外の国鳥
例えばですが、フランスの国鳥はニワトリです。
家畜を国鳥に選んでいます。
家畜という意味で、キジの狩猟とは若干違うかな。
でも感覚的には、日本とちょっと似てますよね。
他にも、ちょっと似た別のケースも見てみます。
モーリシャス共和国の国鳥は、絶滅させてしまった鳥です。
その鳥の名はドードー。
絶滅させてしまった経緯を、簡単にお伝えしておきますね。
モーリシャスは昔、
人間の手が入っていない未開拓の地でした。
モーリシャスに暮らす人々の遠い祖先が、この地に初めて上陸した時、
一緒に来た犬や猫が、ドードーの卵やヒナが食べてしまいます。
そして、人間も食料として、ドードーを獲っていました。
ちなみに、ドードーとは飛ぶことが出来ない大型の鳥です。
しかも、それまで天敵がいなかった為に、危険とは無縁にのんびり暮らしていました。
つまり、人間を相手にするには、危機意識が足りなかった。
自ら人間に興味を示し、近づいてしまったなんて記録もあるくらいに。
そして、主に食用として人間に獲られ、為す術も無く一羽もいなくなってしまったんです。
モーリシャスが、国鳥にドードーを選んだ理由には、
「このような悲劇を二度と起こさないように」
という思いが込められているのかも知れません。
国鳥とは、その国を代表し、象徴となる鳥を選ぶとされています。
しかし、家畜や狩猟の対象となる鳥を、国鳥としている国もあるんです。
命を貰って糧とする事も、生き物との1つの関わり方と伝えたいんでしょうね。
選定の方法も、国民の投票で決めたり、
国鳥への思いや、文化や時代背景が複雑に関係しているようです。
今の時代に日本の国鳥を選ぶとしたら、あなたはどんな鳥を選びますか?
多種多様の価値観が存在する今、70年前よりも揉めるかもしれません。
現代だと、トキ、ツル、ヤタガラスなんかが、
思い付く人が多いんじゃないかな?
キジが選ばれた時の、5つの選定基準に当てはめてみましょうか。
トキが国鳥になれない理由
トキだって、とても美しい鳥ですよね。
だけど、選定基準を満たしていません。
トキの学名はご存じですか?
今ではけっこう有名になっていますが。
そう!ニッポニアニッポンですね。
では、この学名が付けられた、そのきっかけを作った人物はご存知でしょうか?
江戸時代に日本に来た、オランダ人のシーボルトと言われています。
彼が、トキを日本固有の鳥として、ヨーロッパに紹介したことで、
この学名が付けられたそうです。
だけど実際には、トキは朝鮮半島などにも生息していて、
日本の固有種ではないんですよね。
なのに、ニッポニアニッポン・・・
「この名前のおかげで、日本の国鳥と間違えられてしまう」
という意見が多く聞かれます。
他にも選ばれなかった理由があって、70年前にはトキはたくさんいて、
田畑を荒らす害鳥というポジションに位置付けられていたからだそうです。
今から思うと、とても残念な事ですね。
次は、ヤタガラス、丹頂鶴について考えてみましょう。
ヤタガラスとツルではダメな理由
ヤタガラスと言えば、サッカー日本代表のエンブレム。
カッコイイですよね。
神様のお使いとして、
伝説になっている特別なカラスです。
だけど、その伝説の元が、中国の文献だという説があるんですよ。
日本由来ではないという点がネックになったと思われます。
丹頂鶴も、美しさでは他の鳥に引けは取りません。
でも残念ながら、それほど身近なところで目にする事はできませんね。
日本では北海道のみで、
日本以外にも、中国やロシアでも生息しています。
残念ながらトキと同じで、丹頂鶴も日本固有の種ではない。
一年中、身近な所で暮らして、
昔から親しまれているという条件にも当てはまらないです。
ヤタガラスに至っては、ファンタジーですしね。
いざとなると、条件をクリアするのは、なかなかハードルが高いなと思いました。
最後に、日本の国鳥とされたキジのイメージと、
生態のギャップについても少し触れておきたいと思います。
イメージとのギャップ!キジの生態
春になると、オスは「ケンケーン」と大きな声で縄張りを主張し、
メスに自分の勇姿をアピールします。
<初めて聞く人には以外?キジの鳴き声>
ですが子育てとなると、実は殆どメスだけで行うのです。
オスとメスとヒナたちが、一緒にいる姿はまず見かけません。
日本の国鳥として、
昭和の理想の家族像の象徴としたかったのかもしれませんが、若干違いますね。
また、キジのメスが母性愛の象徴との事でしたが、
どの鳥もヒナや卵は命懸けで守り、キジだけ特別というわけでもありません。
鳥のお母さんは、ほどんどが愛情深く子育てをするのです。
いかがでしたか?
キジが国鳥になった理由を決められたのは、だいぶ昔で、
今とは、かなり考え方などに違和感を覚えた方もいらっしゃったかもしれません。
キジが国鳥が選ばれた理由と時代背景~まとめ~
最後に、キジが日本の国鳥に選定された理由のおさらいです。
・第一の理由!日本の固有種である事。
・第二の理由!留鳥である事。
・第三の理由!美しい事。
・第四の理由!肉が美味。
・第五の理由!イメージ。
日本人はこうあるべき、
男性はこうあるべき、女性はこうあるべきと、
型にはめるのが普通だった時代に決められたという事が分かりました。
時代は移り、
昔は分からなかった事も解明されて、多種多様な意見がネット上に溢れています。
ですが、キジが美しい日本の鳥である事に、違いはありません。
昔ほど、キジが生息できる環境が身近ではなくなってしまっているのが、とても残念です。
これからの日本の未来に、
キジも変わらずにそこにいる事を願って、終わりにしたいと思います。
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