幼虫が葉を食い尽くして、
樹木をみすぼらしくしてしまうアメリカシロヒトリ(アメシロ)。
その被害はサクラやリンゴなどの落葉樹を主に、100種もの樹木に及びます。
毛虫が大量発生して、植物被害だけではなく、
家の軒下などに固まっていることもあり、
さらに室内にまで入り込んで……と、
虫嫌いの人にとっては阿鼻叫喚を引き起こす嫌な相手ですね。
以前、幼虫の駆除について、
___アメリカシロヒトリの幼虫の駆除法!ケース別でいくつか___
を書きましたが、今回は成虫の駆除です。
幼虫を産みつけられる前に、成虫を片づけて元を絶ってやろうというわけ。
まずは成虫の生態、習性を学んで、どんな対策があるのか考えていきましょう。
アメリカシロヒトリの成虫の発生時期
アメリカシロヒトリは冬の間サナギでいて、暖かくなる4~5月に羽化します。
白い、小さな蛾で、羽に斑点があることもあります。
ちなみに肢のつけ根が赤いのが元から日本にいるただのシロヒトリ。
外来種のアメリカシロヒトリの肢に赤は見られません。
アメシロの成虫は10日ほどの短い寿命の間に交尾して、産卵。
5月~6月に幼虫が大量発生するんですね。
その幼虫が成虫になるのが8月頃で、
9月から10月に第二世代の幼虫がまた大量発生。
一般的に、この第二世代のほうが被害が大きいといわれています。
で、サナギが越冬して……春に羽化で最初に戻る。
まあ、冬以外は年中アメシロのシーズンってことですね。
この成虫の時期にどれだけ駆除できるかによって、
幼虫の被害も抑えられるのはおわかりになりますよね?
殺虫エアゾールでチマチマと駆除してもいいのですが、
最近はもっと効率のいいアイテムが市販されています。
モストラップで誘引
アメシロ♂のスケベ心を利用して駆除するのがモストラップです。
バケツをぶら下げたUFOみたいなトラップ器具にフェロモン誘引剤を貼付し、
鼻の下を伸ばして(どこが鼻かわからないけど)
引き寄せられたオスアメシロが、
バケツに落ちて一網打尽になるという仕組みです。
僕も男の端くれとして、甘い罠には気をつけねば……。
オスがいなければ、メスも産卵できず、
幼虫の発生が予防できるという理屈ですね。
誘引剤の効果は3ヶ月ほどなので、成虫の飛び始める5月頃に設置し、
8月ごろに誘引剤を交換すればいいでしょう。
植物や他の動物には害がなく、
街路樹や公園などに取り付けられることも多いようです。
次はもう少し過激なアイテムを紹介しましょう。
電撃殺虫器
アメリカシロヒトリはヒトリガ科なのですが、
これは孤独な蛾だと思っていませんか?
そうではなく、
「火(灯)取」――明かりに寄ってくる蛾なのです。
ヒトリガは「飛んで火にいる夏の虫」の語源になったといわれており、
明かりに突撃して身を焦がす
「正の走光性」が強い蛾です。
その生態を利用したのが電撃殺虫器。
ネーミングがもう、殺る気マンマンの商品です。
要するに誘蛾灯+電撃というもので、
灯に引き寄せられたアメシロを高電圧ショックで始末しちゃうんですね。
けっこう卑怯な商品ですが、
虫嫌いの人なら「蛾がゴミのようだー!」
と叫びたいほど痛快かもしれません。
アメシロ以外にカメムシやハエなどにも有効で、
値段はお高めですが、使い勝手はいいでしょう。
ただ、モストラップも電撃殺虫器も100%駆除できるかは疑問です。
成虫を減らすことは期待できますが、
一匹でも産卵すれば卵の数は1,000個近く、それだけでも幼虫被害はかなりでしょう。
木がある以上、アメシロとの戦いは避けられないと考えたほうがよさそうですね。
アメリカシロヒトリの成虫の駆除法~まとめ~
ぶっちゃけて言うと、完全なアメリカシロヒトリの駆除法はありません。
別な手としては、
毎年のように幼虫がつく木を伐採し、別なものに植え替えるとか。
アメシロのつく木は数が多すぎて難しいかもしれないのですが、
落葉樹、広葉樹を意識して排除することで、
アメシロの発生を防げる可能性はあります。
こんなふうに試行錯誤しながらやってゆくしかないのかな~
というのが現実でしょうかね。