シュモクザメと聞いてどんなサメかイメージできる人はいますか?
撞木(しゅもく)とはトンカチのことで、
英語名はハンマーシャークと聞けばわかる人も多いはず。
そうです、頭が横に長く先端に目のついた、
一度見たら忘れられない形のサメです。
見た目はかわいらしいシュモクザメですが、
サメなんだから人を襲うのでは?
……実は、そうではないかも知れませんよ。
目次
人食いサメの汚名をはらす!?シュモクザメの本当の姿
サメと言えば、
映画に出てくるような凶暴で、残忍なサメを想像する人も多いでしょう。
しかし、シュモクザメの中でも、
日本沿岸で見られるようなアカシュモクザメは、
実は穏やかで臆病な性格なのです。
ホホジロザメやアオザメのように食肉性ではありますが、
シュモクザメは自分よりも小さな水生生物を主に食べています。
大きな頭部には、
生物が出す微弱な電気を感じ取る
「ロレンチーニ器官」が発達しており、
海底に隠れたヒラメを見つけ出す姿も確認されているようです。
砂を掘る際には、あの頭部が活躍するとか。
結局シュモクザメは人食いサメなの?
そう結論を急がず、ちょっと脱線。
みなさんはアカシュモクザメを食べたことはありますか?
結構有名なあれ、実はアカシュモクザメなんですが……
そう、フカヒレです!
高級食材として有名なフカヒレのために、
アカシュモクザメは乱獲され、
今では国際自然保護連合で、
近い未来絶滅する可能性があると言われているんです。
皆さんも釣りなどで稚魚をとってしまったら、
優しく海に帰してあげてくださいね。
日本でも釣れるシュモクザメ。
特に沿岸で見られるのはアカシュモクザメです。
その出現によって海水浴場が閉鎖される、なんてことも。
性格が臆病だとわかっているのに、
どうして海水浴出来なくなってしまうんでしょうか?
その理由には、過去の恐ろしい事故があったんです。
気づいた頃にはもう遅い!サメの補食活動:
1982年のことです。
熊本県の串の沖という場所で、ある一家がヨットで遊んでいました。
子供達はヨットにつながった綱に引っ張られて泳いでいたそうです。
30分ほど泳いでいると、その中のひとりの女の子が
「お父さん、引っ張って……」
と声を上げました。
急いで綱を引き上げようとしたその一瞬のうちに…
彼女は海に沈んでしまったのです。
即死でした。
引き上げた彼女の体には、
腹部が残っていなかったそうです。
彼女の体に残った歯形を調べると、
確かにシュモクザメのものでした。
シュモクザメは基本的に穏やかな性格です。
しかし捕食生物と見間違えれば、人間だって襲うことがあるのです。
通常サメは視野が10°程度、
その頭の形によって広い視野を持つシュモクザメですら、30~50°しか視野はありません。
おまけに嗅覚など他の能力で補っているため、
視力も悪い。
その視力は捕食の際、自分より大きいかどうかだけを見分けられる程度なのです。
考えてもみてください、海水浴をしている人間の足……
水中から見たら捕まえやすそうな魚に見えてしまうと思いませんか?
どうしてもシュモクザメが見たい!
ここまできたら、
シュモクザメがいる場所で遊泳なんてしたくしたく無くなってきました?
しかしどうしてもシュモクザメが自分の目で見てみたい!
という方!
その願い、日本で叶えられるんです!
しかも一匹や二匹ではありません……
数百匹にも及ぶ群れを見ることが出来ます。
サメの中でも珍しい、
群れで行動するシュモクザメならではの壮大な景色……
どこで見ることが出来るのでしょうか?
有名なのは沖縄の宮古島、
また本州でも伊豆の神子元島で見ることが出来ます。
静かな海の中、
優雅に回遊する数百のシュモクザメ…
神秘的な光景に、
多くのダイバーが集まっています。
シュモクザメは人喰い?まとめ~
結論としては、シュモクザメは好んで人を襲うことはないものの、
人間の脅威に十分になり得る、ということです。
凶暴な一面をみせるシュモクザメを紹介してきましたが、
ダイバー達の間では、会えたら幸運になれるラッキーシンボルでもあるそうです。
ですからもし数百匹の群れを見に行ったなら、
生涯運が尽きないこと間違いなし!
不運に見舞われることもなさそうですね。
少なくとも、サメに噛み付かれるなんて不運は……