絶滅した超巨大トカゲ『メガラニア』。
いかにも大トカゲって語感だと思いません?
あのコモドドラゴンの数倍もデカい。
といえば、なんとなく想像できますか?
普通に恐竜じゃん!
今も生きていたら、食われる人間続出でしょう。
滅びてくれていてよかったと思っちゃいます。
このメガラニアが現在も生き残っているかもしれない。
目撃もあります。
絶滅種にはよくある話ですね。
もちろん食われるのは遠慮したい。
でも、そんな恐竜みたいなメガラニアが、本当にまだいたら。
ちょっと、ロ~マンチックじゃありません?
今回はメガラニアの紹介とともに、実在の可能性を考察したいと思います。
メガラニアとは?
メガラニアは、今から4万年ほど前に生息していました。
その外観は、現代もオーストラリアにいる、2mほどもある、
『ペレンティーオオトカゲ』と似ていたと考えられます。
これがペレンティーオオトカゲ
有名なコモドドラゴン(体長2.5m)とも近種と思っていいでしょう。
しかしサイズが違う。
メガラニアの大きさは5~7m!
現存のオオトカゲ種の、2倍から3倍もあった。
最大で10m、体重4tにもなっただろうといわれます。
史上最大の大トカゲです。
メガラニアという名前も「大きな放浪者」という意味。
巨体で、荒野や森林をうろつき、カンガルーや牛などを襲っていたのでしょう。
そんなメガラニア、意外と最近までいたようなのです。
1万年ほど前のオーストラリアの先住民、
アボリジニの壁画にも描かれています。
日本なら縄文時代。
こんな怪物が、人間の時代にもいたんですよ。
数千万年も前に滅んだ恐竜に比べれば、
数千万倍も生存の可能性は高い……かも。
事実、オーストラリアではメガラニア目撃もある。
期待しちゃいますよね。
「でも、そんなデカい生き物が見つからないでいるのかな?」
当然の疑問です。
目撃情報はどれほど信憑性があるのでしょう?
メガラニアの目撃
メガラニアの目撃は多くありません。
古いところでは1890年頃。
オーストラリアの小さな村で、
20フィート(約6m)の大トカゲが暴れ回った記録があります。
その怪物は牧場の家畜を襲い、村に大被害を与えたとか。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、似たような事件がいくつかあったようです。
しかし、目撃記録としては弱い。
ろくに検証されていないローカルニュース。
噂話みたいなものです。
具体的な情報は、1960年頃まで待たねばなりません。
オーストラリアの北に浮かぶニューギニア島。
60年代、フランスの司祭がその奥地で、
巨大トカゲを目撃します。
それは人間の倍はある大きさで(4~5mか?)
倒木の上に横たわっていたそうです。
1968年。
訓練中の部隊が牛の死体と、
大トカゲの痕跡を発見。
1975年。
大都市シドニーにも近いワタガン山脈で、二人の農夫が大トカゲと遭遇。
道に横たわっていた大木が動き出したという。
頭部は道からはみ出していて見えなかった。
同1975年。
ワタガン山脈のあるニューサウスウェールズ州で目撃が相次ぐ。
頭と首だけで1.5mある、
全長9mのトカゲと証言。
別な証言では、畑をうろつく7mのトカゲだったとある。
1979年。
オーストラリアの農夫が6mのトカゲを目撃。
巨大な足跡も確認されています。
同じ1979年。
専門家である爬虫類学者がワタガン山脈で目撃。
倒木と思ったが、9mはあろうかという大トカゲだった。
2008年にも、巨大トカゲらしき足跡が見つかったといいます。
2000年代に見つかったメガラニアの骨を調査した結果、
それはたった300年前!
ほどのものと推測できたのです。
事実なら、メガラニアはほんの数百年前までいた。
アボリジニの伝承では、大トカゲは『ゴアナ』と呼ばれ、
今も生きていると信じられているらしい。
絶滅していないと思っていいんじゃないの?
注目したいのは、目撃地が広いということです。
古い記録は、主にオーストラリア北部。
ワタガン山脈は南部です。
さらに、
メガラニアがいなかったはずのニューギニア。
メガラニアは泳ぐこともできたそうなので、
海を渡ったとしても不思議ありません。
これは、広く分布しているというより、
局地でまばらに生息していると思われます。
広く分布しているなら、もっと目につくでしょうし。
「太古の環境が残る場所で、メガラニアが生き残っている!」
夢は膨らみます。
でも、やっぱりメガラニアは現代には不釣り合いな生き物。
目撃も「デカいトカゲ見たよ」
って話ばかり。
確かな感じがイマイチしない。
今もメガラニアはいるのか。
その可能性を考えてみましょう。
メガラニア生存の確率は?
絶滅種が今も生き残っているのか。
これは賛否が分かれる議論です。
メガラニアが滅んだのが、約1万年前としましょう。
これは『新生代第四紀の大量絶滅』と時期が合います。
この頃、今からもっとも近い氷河期が終わりました。
トカゲは暖かい場所にいるイメージですが、
メガラニアの時代はちょっと寒かったんですよ。
そのせいか、動物たちはみんな大きかった。
寒い地方の動物は、大型化する傾向がありますから。
この時代の動物といえば、マンモスを始め、
巨大ナマケモノ・メガテリウム、
大きな牙を持つサーベルタイガー、
堂々としたダイアウルフなどなど……。
メガラニアのいたオーストラリアにも、
3mのウォンバットや2m超のカンガルーがいました。
巨大獣がのし歩く、リアルモンハン時代だったんです。
しかし、氷河期が終わると植物相も変わり、
大型草食獣が滅ぶ。
それらを食べていた肉食獣も消えました。
そうした環境変化に、爬虫類のメガラニアが耐えられたとは思えません。
また、メガラニアはコモドドラゴンと似た習性だったらしい。
コモドドラゴンは群れるのです。
とすれば、メガラニアだって群れてもいいはず。
5m超のトカゲの群れが、未だ発見されないなんてありますかね?
いくらオーストラリアが広くても、さすがに無理がある。
僕個人の意見は「いそうにないな~」です。
目撃も目測の誤り。
ワニ(5mくらいのもいる)の誤認ではないでしょうか。
……ちょっと夢がないですか?
一応、生き残りの可能性にも触れてみましょう。
生存の望みは小型化
メガラニアはコモドドラゴンに近いと言いました。
実はコモドドラゴンは、メスだけで子孫を残せます。
単為生殖といい、メス一匹だけでも数を増やせる。
「絶滅しにくい」とも言えますね。
それに、1万年前の大絶滅で、すべて滅んだわけでもありません。
ナマケモノだってカンガルーだってウォンバットだって、
小型化して生き延びているじゃないですか!
メガラニアも巨体を捨て、
逆に小型化して、絶滅を乗り切ったかもしれません。
小型化といっても、元は5~10m。
今だって、3mとか4mはあるでしょう。
怪物級の大トカゲなのは間違いない。
遭遇したら恐怖ですよ。
それを見た人が、「6mだ」「9mだ」と見誤ることもありそう。
メガラニア生存もわずかに可能性がある。
それはもう恐竜のような迫力でしょうね。
大絶滅を逃れたタフな巨大トカゲが、
いつか大衆の目前に、再登場することはあるのでしょうか。
メガラニアの目撃例と生存の可能性~まとめ~
「メガ」を冠する生物は、
主に絶滅した巨大生物。
僕など「メガなんとか」と聞くだけでワクワクしちゃいます。
メガラニアも魅力的な、史上最大のトカゲでした。
そして、時に目撃され、人々を怖れさせています。
生き残っている確率は小さいかもしれません。
しかし、強靭な肉体と凶暴性を持つメガラニア。
「そう簡単には絶滅しないぜ」
とドヤ顔して、したたかに生きているとも思いたいですね。