世界が認めたモノマネ王!コトドリの鳴き声の秘密と生態!

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今はほとんど見かけなくなりましたけど、

九官鳥ってモノマネ鳥がいますよね。

 

昔の漫画や読み物なんかでは、

「九官鳥のキューちゃん」

って、モノマネ鳥の代名詞のような存在でしたが、今やそれも昔の話。

 

今のモノマネ鳥の代表は、

オーストラリアの「コトドリ」です。

 

 

NHKの動物番組でも紹介され、

ネットでも大人気なその破天荒な音のコピーぶりは、

「モノマネ鳥の王様」

とまでいわれるほど。

 

九官鳥をしのぐって、いったいどんな鳴き声なんでしょう。

 

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「コトドリ」ザ・キング・オブ・モノマネ鳥!

 

コトドリの音の完コピぶりは、とにかく凄い!

 

ネットでブレイクしている「コトドリ」の鳴き声は、

・カメラのシャッター音

・チェーンソーのうなる音

・車のブレーキ音

・工事現場のようなドリルやトンカチの音

のような人工的な音。

 

 

とにかく耳にした音は、

何でも真似できる、すごいノドと耳の持ち主なんです。

 

しかもそのクオリティはかなり高く、

目をつぶれば、とても鳥が鳴いているようには聞こえません。

 

 

あまりに色々な人工音を真似できるので、

その音を使って、

ゲーム画面などと合わせる動画遊びも流行っているくらいです。

 

 

 

この声の持ち主は、

オーストラリアのアデレード動物園にいた、

チューク君。

 

コトドリがモノマネ鳥として世界的にブレイクしたのは、

彼が工事現場の声を真似するようになったからです。

 

見ただけではあんまり見分けがつきませんけど、

ネットで出回っているコトドリの動画は、

ほぼ100%チューク君のものといっていいくらい。

 

彼は2011年に、32歳で死んでしまいましたが、

その後もコトドリといえば、チューク君の画像が引用されるほど、

有名な鳥になりました。

 

 

 

もっとも、

チューク君も最初から、こんな鳴き方をしていたわけではありません。

 

最初は暇つぶしに、

観光客のカメラのシャッター音や、話し声などを真似する、

ごく普通の動物園のコトドリだったのでしょう。

 

ですがある時、隣にパンダ舎ができることになります。

 

 

パンダ舎ですから、そんなに簡単には完成しません。

 

数ヶ月かけて聞こえてきた建設工事現場の音を、

彼はずっと隣で聞くととなります。

 

そして、

「この音いいな」と思ったんでしょうね。

 

ある日、彼はその工事現場の音を真似し始め、

あっという間に世界中の人気者となるのです。

 

 

本当に何度聞いても、

チューク君の音真似は、笑っちゃうほど工事器具の音にそっくりです。

 

SNSやYouTubeだけでなく、

イギリスBBCの、有名なプロデューサーの、

ディビッド・アッテンボローの番組にも出演していますし、

NHKの番組でも、その異彩ぶりが紹介されるほどですから。

 

<英語ですが、話題性の大きさが伺えます>

 

 

でも、おかげでコトドリは、

森の中でも、みんなチェーンソーの音を響かせているような、

間違った印象が付いてしまったんですよ。

 

当たり前のことですけど、

どんなに素晴らしいモノマネ王者でも、

聞いたことのない音はコピれません。

 

彼の住居、アデレード動物園の鳥舎は、

生息地によく似た作りになっているので、

まるで野生のコトドリが、野外で鳴いているように見えちゃったんでしょう。

 

 

では、森の中のコトドリは、実際にはどうなんでしょうね?

 

彼らは、他の鳥の声を真似して歌っています。

 

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コトドリ美女の気を引くモノマネソング

 

そもそもチューク君は、モノマネが特別上手なわけではないんですよ。

 

コトドリのオスは、みんなモノマネキング。

身の回りの音なら何でもコピれます。

 

だから、驚くべきは、

その耳(と脳の作り)と、正確に再現できるノドなのかもしれません。

 

 

で、そのすごい能力を使って何をしているかというと、

男の子たちは、女の子の気を引くんです。

 

コトドリのオスは、周りにいる他の種類の鳥の声の真似をします。

 

 

しかも、たくさん知っている方が、カッコいい。

 

だから、色々な鳥の声をメドレーで歌って、

「ボクってイケてるでしょ?」

って、女の子にアピールするんです。

 

 

イケてる男子は、20種類くらいレパートリーがあって、

それを次々披露する。

 

それも「さえずり」と呼ばれる、

繁殖期の鳥がナワバリ宣言したり、パートナーを探したりする時に使う、

複雑で、ど派手な楽曲です。

 

それは、あまりによく似てるので、

他の鳥が間違えてやって来ないか心配になるくらい。

 

 

他の鳥が間違えてしまうことはないみたいですけどね・・・

 

おそらく、

本物のように、同じ曲をずっと歌っているわけではないので、

たぶん「またアイツか」

で、すまされているんでしょう。

 

それに、地面に近いところで女の子をナンパするので、

元歌の主たちは、それほど間違えなくてすむのかもしれません。

 

 

 

彼らは、空を飛ぶのがそんなに上手くないので、

地表でナンパします。

 

コトドリは、低いところを歩き回り、

地面を掘ってミミズや昆虫などを食べる鳥。

 

そして、移動は基本「歩き」です。

 

 

自慢の歌と、琴の形をした尾羽を、

優雅にひけらかしながら女の子を誘惑して、

そして上手くいったら、次の女の子を探しに行くのです。

 

 

コトドリのメスはしっかりもの!オスはフラフラ?

 

コトドリのメスは、ひとりで子育てをします。

 

 

鳥は、ヒナをオスメス交代で育てるイメージですが、

片親だけで育てる鳥って、けっこう多いんですよ。

 

例えば、

同じオーストラリアの飛ばない鳥ヒクイドリは、

オスがひとりで子育てをします。

 

哺乳類のように、母乳に依存せずに子育てできる鳥類は、

どちらの親が単独で育てても、一見変わりはなさそうです。

 

 

でもやっぱり少し違ってるところもある。

 

オスがフリー、メスが子育てをする場合には、

メスの数だけヒナが生まれまる。

 

逆に、メスがフリー、オスが子育ての場合は、

メスは違う遺伝子を持った卵をたくさん産むことができる。

 

メスが子育てに回った方が、

ヒナの数も少なくなるってこと。

 

 

どちらがいいのかは環境次第ですが、

コトドリの場合は、メスが子育てでしたね。

 

その理由ですが、彼らは熱帯雨林の深い森の中にいるから。

 

 

食べるもの(虫)が豊富で、敵もほとんどいない。

 

もし敵が来ても、隠れるところはたくさんある。

 

そういう環境なら、

1羽のヒナを母が大事に育てることが、

コトドリ一族にとって1番有利だ、

ということになったんでしょう。

 

 

 

犬猫のような捕食動物が少なく、

固有種だらけの古い大陸オーストラリア。

 

コトドリも立派な固有種です。

 

彼らは、

歩く鳥や、飛ぶのが下手な鳥が多いこの大陸の、

いったいどこにいるんでしょう。

 

 

コトドリは実は2種類いる!

 

コトドリは2種類います。

 

 

1つは、

スパーブ(見事な、豪華な)コトドリ(ライアーバード)

 

体長は90センチ前後。

 

体長の半分以上が、

ギリシャ神話に出てきそうな琴(ライアー)の形の尾羽を持つ美しい鳥で、

オーストラリアの、南東の森林地帯に棲んでいます。

 

(一部1950年代にタスマニアにも導入されました。)

 

 

単にコトドリといえば、普通はこちらのこと。

 

オーストラリアの国鳥にして、

10セント硬貨や、切手の意匠にも登用されていて、

オーストラリアでは、とても馴染みのある鳥です。

 

アデレード動物園のチューク君もこちらの種類。

 

 

 

そしてもう1つは、

少し小柄で、尾羽も短いアルバートコトドリ。

 

こちらは、南東部の州境の一部にだけ棲息しています。

 

 

でも、どちらもモノマネが大得意。

 

コトドリのいる地域では、

「森で子どもの名前を呼んではいけない」

という言い伝えがあるのだとか。

 

ご想像の通り、コトドリがその名前を覚えて呼べば、

「森の中で迷って帰れなくなるから」

ということようです。

 

 

観光客だったら、一発で迷子になってしまいそう。

 

でも、それくらい昔から、人間の言葉や生活音を真似していたんですね。

 

 

 

そんなコトドリですが、

個体数でいうと、絶滅危惧のレッドデータに乗るほどではありません。

 

つまり危機的ではない。

 

でも、それは去年の今頃の話・・・

と言った方がいいのかも。

 

 

絶滅の危機にあるのはコアラだけでなない

 

2019年9月に始まった、

オーストラリアの森林火災は、

半年近く経った今も、まだ鎮火する気配はありません。

 

燃えている森林地帯は、まさにコトドリの森でもあります。

 

 

さらに、オーストラリアの乾季、

つまり、本格的な森林火災シーズンはこれから。

 

さらに加速していく森林火災。

 

コアラやカンガルーが広告塔となって、

その悲惨さを世界に伝えているので、

知っている方も多いでしょう。

 

 

もし森がなくなれば、

今度は洪水が、支えるもののない大地を洗い流してしまいます。

 

何万年もかけて、

ゆっくり育ててきた豊かな土壌が、あっさりと流されてしまう。

 

それは、草木どころか、

生き物の最もベースとなる、昆虫やミミズなども、

生きていくことができなくなるということ。

 

 

しかも、来年度もまた、森林火災シーズンはやってくる。

 

コトドリに関していえば、身を隠す森もないので、

おいそれとは、もとの場所へはもどれないでしょう。

 

しかも、彼らは1度に1羽しかヒナを育てない。

 

仮に、今火事が収まったとしても、

コトドリの数が回復するのは、難しいことが分かりますよね。

 

 

それにこれは、遠い国の珍しい動物がいなくなるだけでは、

すまない話でもあるんです。

 

南半球の大きな森がなくなれば、

必ず北半球の気候にも影響が出るから。

 

何かできることはないのか、考えなければならないですね。

 

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チューク君で有名に!生物界のモノマネキング~まとめ~

 

オーストラリアのモノマネ鳥コトドリ。

 

そのずば抜けたコピー能力で、世界中の人を楽しませてくれました。

 

その代表者、チューク君は今はいませんが、

ネットの中で、その姿を見ることができます。

 

 

しかし、

今、オーストラリアの森林火災で、

彼の親戚の大多数が、いなくなってしまいそうな勢いです。

 

こんな鳥、いなくなったら寂しくないですか?

 

色んな能力を持った生き物が、たくさんいる世界はとても楽しい。

 

動画の中だけの生き物にならないように、

まずは何でもいいから関心をもち、できることを模索していきましょう。

 

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