電気ウナギ、電気ナマズ、シビレエイ、電気くらげ!
このように並べれば
「うん、みんな強い電気を発生させる動物だな!」
と思いますか?
実は、電気くらげは違うのです。
電気くらげは、刺されたときの痛さがあまりにも強く、
おまけに強力な毒性があるので、そのような名前がつけられました。
しかし、それ以外の動物は、
実際に、かなり強い電気を発生させます!
それでは、
このような魚はどのようにして、そのような電気をつくり出すのでしょうか!?
また、このような魚に触ったらどうなるのでしょうか。
いやはや、感電しないのでしょうか!?
発電のしくみ
電気ウナギと電気ナマズは、
どのような仕組みで、強い電気を発生するのでしょうか!?
そもそも動物の細胞は、
微弱な電気を発生しているというのはご存じですか?
細胞は刺激を受けると、0.1Vくらいの電気を発生します。
これを専門用語で「活動電位」といいます。
この活動電位が発生すると、
神経細胞などでは「活動電流」という電流が流れます。
神経に活動電流が発生すれば、
これが神経を流れて、いわゆる「情報」となって移動するのです!
また、心臓の心電図。
これは、心臓の筋肉が発生させる、微弱な電気を測定して得ることができます。
じゃあ、
「電気ウナギ電気ナマズの電気も0.1Vくらいなの!?」
と思いますよね。
実は、それには訳があるのですよ。
電気じゃなく、電圧の話をしましょう。
電気ウナギの電気は、電圧にすると何と約800V!!
電気ナマズは、だいたい400Vくらい。
シビレエイはそれらよりかなり小さく、
30V~70Vくらいでしょうか。
下にある動画は、電気ナマズと電気ウナギを混泳した場合です。
電気ナマズが、ちょくちょく電気ウナギに近寄りますが、
ビックリしているのは、電気ナマズの方に見えますね。
軍配を上げるなら、より電圧が強い電気うなぎか?
では、何故このように、
大きい電圧をつくり出せると思います?
たとえば、乾電池は普通1.5Vですよね。
これを直列に2本つなげば3.0Vになります。
10本つなげば15Vです。
このように、電池をつないでいくと、
とても大きな電圧をつくり出せるでしょう!?
実はこのように、
電気ウナギや電気ナマズには、乾電池に相当する細胞があって、
それらが繋がっているのです!
その乾電池に相当する細胞を、
「発電板」といいます。
これらが多数くっついて、
柱のような構造になったものを「発電柱」といいます。
この発電板は、筋肉の細胞が変化したもので、
1個の発電板は、0.15Vくらいの電圧をつくることができます。
これらが積み重なり、また発電柱がいくつも集まって、
このように、大きな電圧を生み出しているのですね!
では、800vもの電圧を作る電気ウナギに触ったら、
感電するのでしょうか?
もし感電したらどうなるのでしょう?
また、自分自身が生み出す電気で、感電したりしないのでしょうか?
分かり易く、
1番電圧の強い、電気ウナギを基準にして見ていきましょう。
触ったら?感電するとどうなる?
ズバリ、感電します!
ウマや人間が、ついうっかりと電気ウナギを踏みつけて、
実際に感電したという記録があります。
中には何と、
「心室細動」を起こしたケースもあるそうですよ!!
心室細動とは、
簡単に言えば、めっちゃ激しい不整脈です。
あり得ないくらい脈が上がったり、はたまた0になったり・・・
怖いですね!!
このように強い電気を出しますので、
実は、電気ウナギ自身もわずかに感電しています!
しかし、電気ウナギには豊富な脂肪があるのです。
この脂肪が、電気をさえぎる絶縁体となっています。
そのために、
感電するといっても、たいした事はないようですよ!
ちなみに、
電気を通しづらいのが絶縁体ならば、
その逆の通し易いのは、導体と言います。
それで、絶縁体と導体の中間が、半導体です。
(近年、よく耳にしますよね)
それでは、
電気ウナギは何のために、このように強い電気をつくっているのでしょうか?
また、このように電気をつくり出して疲れないのでしょうか?
発電するのは何のため?
一つは,大きな動物に襲われたとき、感電させてその間に逃げる!
電気ウナギが何百ボルトもの電気を発生できるのは、
普通1000分の1秒らしいですが、
敵に巻き付いて、1分以上も電気を発生し続けた例もあるとか。
もう一つは、捕食だそうです。
餌となる魚などを見つけると、体をぶつけて電気を発生させて魚を感電させ、
動きを弱めてから、おもむろに食べるとのこと。
見つけるといっても、
目で見つけるわけではないようですよ!
電気ウナギの目はとても小さく、
しかも成長するに従って盲目になってしまうといわれています。
それではどのようにして見つけるのでしょうか?
動物は、筋肉を収縮させると、前に述べたように微弱な電気を発生します。
電気ウナギは、どうもそれをキャッチしているらしい!
電気ウナギは、
かなり優秀な電気をキャッチする「電気受容器」をもっていて、
これが、目の代わりになっているといわれています!
また、弱い電気もつくることができ、
弱い電場をつくって、獲物を探知しているとも言われています。
なお発電は、筋肉で行われますので、
高電圧の電気を発電すると、猛烈に筋肉を使うのと同じですから、
かなり疲れるようです。
そのため、
疲れていたり、老齢になったりすると、
上手く発電できない場合があるそうですよ。
実際に水面などをばしゃばしゃと何かでたたき、
電気ウナギを驚かせて、やたらと電気を発生させて、へとへとに疲れさせてから、
電気ウナギを捕まえる。。。
そんな漁法もあります。
強い電気をつくる電気ウナギや電気ナマズ、シビレエイ。
発電板によって発電すると述べましたが、
電気といえばプラスとマイナスを連想しませんか?
生物が電気を生む仕組み~まとめ~
実はこれら3種の動物は、
プラス極とマイナス極の位置が違うのです!
電気ウナギは頭側がプラス極、
尾側がマイナス極となっています。
ですから、
強力な電流は頭の方から外へ向かって流れます。
しかし、電気ナマズはその逆で、頭側がマイナス極、尾側がプラス極です。
シビレエイでは、体の前後ではなく、
体の背側がプラス極、腹側がマイナス極となっています。
ということは、そうです!
シビレエイでは、体の背中側から外へ電流が流れる!
このような動物は、
微弱な電気をつくる筋肉細胞を巧みに進化させて、
種族の生き残りを図ってきたのですね。
生物の進化というのはスゴイ!!
平井和正原作、桑田次郎作のエイトマンという漫画では、
エイトマンの両腕から、高電圧の電気を放電するシーンがあります。
それを知っている人はかなり少なくなっているでしょうね。
電気ウナギから、私はついそれを連想してしまいました!